注文請書に収入印紙が不要なケースがあると聞いたけれど、どんな場合に不要かがわからない
とお困りではありませんか。
課税文書に該当する書類を作成する際は、収入印紙を用意しなければなりません。ただし、書類のなかには収入印紙を必要としないものもあるため、不要な文書について確認することが大切です。
この記事では、注文請書に収入印紙が不要なケースを紹介します。収入印紙が不要になる電子契約サービスについても解説するので、注文請書を作成する機会が多い方はぜひご一読ください。
目次
注文請書とは?
注文請書は、業務を依頼する人と請け負う人の間で作成される書類です。
作成される書類には、似た言葉の注文書もありますが、それぞれで内容が異なるため、特徴を把握しておきましょう。ここでは、注文請書について詳しく解説します。
受注者が発注者に渡す書類
注文請書とは、依頼された業務内容を聞き入れる内容を記す書類です。
業務を依頼する人は、希望する内容を記した注文書を相手側に提出します。相手側が内容を確認し、業務を担えると判断したら、注文請書を作成し、依頼者に提出するという流れです。
注文書は依頼内容が記載された書類、注文請書は依頼内容について承諾する旨が記載された書類と考えておきましょう。
請負契約は金額に応じて収入印紙が必要
請負契約を締結する際は、注文請書に収入印紙を貼り付けなければなりません。
請負契約とは、業務を担う人が仕事を完成させることを約束し、完成後に依頼人が報酬を支払うことを約束して成立する契約です。
何らかの業務を依頼する、またはユーザーから仕事の依頼を受ける方は、請負契約を締結するため、収入印紙を用意する必要があります。
請負契約に該当する文書は以下の通りです。
- 工事請負契約書
- 工事注文請書
- 物品加工注文請書
- 広告契約書
- 会計監査契約書
- 専属契約書
No.7102 請負に関する契約書
[令和5年4月1日現在法令等]
概要
請負についての契約書は、印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」に該当します。
請負とは当事者の一方(請負人)がある仕事の完成を約し、相手方(注文者)がこれに報酬を支払うことを約束することによって成立する契約をいいます。請負には建設工事のように有形的なもののほか、警備、機械保守、清掃などの役務の提供のように無形的な結果を目的とするものも含まれます。
内容
具体的には、工事請負契約書、工事注文請書、物品加工注文請書、広告契約書、会計監査契約書などが請負に関する契約書に該当します。
引用元:No.7102 請負に関する契約書|国税庁
該当する書類を作成していても、収入印紙が不要なケースもあります。書類を作成する機会がある方は、不要なケースについても確認しておきましょう。
注文請書に収入印紙が不要なケースとは
注文請書は請負契約に該当するため、紙で発行する場合は収入印紙を貼る必要があります。ただし、場合によっては収入印紙が不要になるため、ここで3つのケースを解説しましょう。
契約金額が10,000円未満
業務の契約金額が10,000円未満の場合は非課税になるため、収入印紙は不要です。
貼り付ける収入印紙は契約金額に応じて変わります。
記載された契約金額 | 税額 |
---|
1万円未満のもの | 非課税 |
1万円以上 100万円以下のもの | 200円 |
100万円を超え 200万円以下のもの | 400円 |
200万円を超え 300万円以下のもの | 1,000円 |
300万円を超え 500万円以下のもの | 2,000円 |
500万円を超え 1,000万円以下のもの | 1万円 |
1,000万円を超え 5,000万円以下のもの | 2万円 |
5,000万円を超え 1億円以下のもの | 6万円 |
1億円を超え 5億円以下のもの | 10万円 |
5億円を超え 10億円以下のもの | 20万円 |
10億円を超え 50億円以下のもの | 40万円 |
50億円を超えるもの | 60万円 |
契約金額の記載のないもの | 200円 |
引用元:No.7102 請負に関する契約書|国税庁
契約金額を確認したうえで、必要な印紙税を支払いましょう。
1997年4月1日から2024年3月31日までに作成される建設工事の請負契約の書類は、印紙税の軽減措置を受けられます。課税額が減額するため、期間内に作成する場合は軽減後の印紙税を購入しましょう。
建設工事の請負契約書のうち記載された契約金額が一定額を超えるもので、平成9年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成するものの税額については、印紙税額が軽減されています。平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものについてはコード7108「不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」を参照してください。
引用元:No.7102 請負に関する契約書|国税庁
契約金額に記載がないものは、一律200円の収入印紙を購入しなければなりません。貼り付けていない場合は収入印紙の貼り忘れと同様のペナルティが科されます。貼り忘れに関しては、後で詳しく解説します。
売買契約に関する書類
請負契約ではなく、売買契約で作成する注文請書も収入印紙は不要です。テレビ購入時のアンテナや配線の設置、カタログ注文を受けてからの家具や機械の製作は、注文請書が作成されても、売買契約とみなされます。
契約内容に応じて請負か売買かが判断されるため、内容に困ったら国税庁に相談することをおすすめします。事前に相談しておけば、のちのち印紙税を求められることもありません。
一点注意しておきたいのが、売買契約のすべてが印紙不要ではない点です。
継続的に売買を行う際に作られる書類は課税対象の7号文書に該当するため、収入印紙を貼り付ける必要があります。
No.7104 継続的取引の基本となる契約書
[令和5年4月1日現在法令等]
対象税目
印紙税
概要
印紙税額一覧表の第7号文書の「継続的取引の基本となる契約書」とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書をいい、税額は1通につき4,000円です。
引用元:No.7104 継続的取引の基本となる契約書|国税庁
単発・期限の定めがない・3ヶ月以内の契約期間は不課税なので、売買の契約期間もチェックしておきましょう。
電子契約で締結
PDFファイルを用いた電子契約を行う場合も、収入印紙は不要です。電子契約で締結した場合は、注文請書に限らず、すべての文書で収入印紙が不要になります。
ただし、電子ファイルを印刷し、依頼者に渡す場合は収入印紙が必要です。
電子契約について了承を得られる場合はメールで、書面での提出を求められた場合は収入印紙を用意しましょう。
印紙税をカットしたいなら電子契約サービスがおすすめ
注文請書を作成する機会が多い方は、その都度収入印紙を購入する手間や管理に悩まされているのではないでしょうか。
収入印紙の手間とコストをカットしたいなら、電子契約サービスを検討してみるのもひとつの方法です。電子契約サービスを導入すれば、電子ファイルでの契約締結になるため、収入印紙は不要です。
電子契約サービスのなかには、書類作成から相手への送信、書類の管理までを一括で行える便利なものもあります。収入印紙の手間を省くだけでなく、業務の効率化も図れますから、ぜひ導入してみてください。
電子契約サービスを導入するメリット
注文請書の収入印紙の手間とコストが省けるとはいえ、すぐに電子契約サービスの導入に踏み切れる方も少ないかと思います。電子契約サービスにはほかにもメリットがあるため、ここで解説しましょう。
インクや紙にかかるコストを削減できる
電子契約サービスを導入すれば、これまで発生していたインク・紙・郵送料・収入印紙などのコストをまとめて削減できます。
紙の書類でやり取りをする場合、作成した書類を印刷しなければなりません。印刷の際にインクと紙の費用が発生し、完成した書類には収入印紙を貼り付ける必要もあります。対面での契約が難しい場合は取引先に郵送しなければならず、郵送料も発生します。
電子契約サービスは書類作成から送信までをメールで行うので、印刷にかかるコストと郵送料を削減できます。書類作成数が多い企業にとっては、大きなコスト削減となるでしょう。
書類の保管スペースをほかの形で活用できる
書類を電子化すれば、これまで保管スペースに充てていた場所をほかの形で活用できる点も大きなメリットです。帳簿書類などは7年間の保存が義務づけられているため、すぐに破棄できません。期間満了まで保管するとなると、広い保管スペースが必要です。
書類を電子化すれば、サーバー上に保管できるため、物理的なスペースは不要です。電子契約サービスのなかには書類の管理機能が付属しているものもあるので、機能を活用すれば手間なく書類管理を行えます。
No.5930 帳簿書類等の保存期間
[令和5年4月1日現在法令等]
対象税目
法人税
概要
法人は、帳簿(注1)を備え付けてその取引を記録するとともに、その帳簿と取引等に関して作成または受領した書類(注2)を、その事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間(注3)保存しなければなりません。
(注1)「帳簿」には、例えば総勘定元帳、仕訳帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳、仕入帳などがあります。
(注2)「書類」には、例えば棚卸表、貸借対照表、損益計算書、注文書、契約書、領収書などがあります。
(注3)青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(青色繰越欠損金)が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失金額が生じた事業年度においては、10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)となります。
引用元:No.5930 帳簿書類等の保存期間|国税庁
取引がスムーズに進む
書類をメールでやり取りできるようになれば、取引がスムーズに進みます。
紙の書類でやり取りをする場合、取引先への郵送に数日程度かかります。注文請書の内容に問題がなければいいものの、誤りがある場合は修正した内容を再度郵送しなければならないので、契約がスムーズに進まないケースもあるでしょう。
電子契約サービスを利用すれば、メールで書類を送ることができるため、リアルタイムで取引先が注文請書を確認できます。内容に誤りがあっても、修正内容をすぐにメールで送信できるので、素早く契約締結まで進められるでしょう。
テレワークへの移行がスムーズ
電子契約サービスを導入すれば、出社の必要もなくなるため、問題なくテレワークに移行できます。
紙の書類を取り扱っている場合は、書類への押印のために出社する必要があります。書面内容を確認する場合も出社しなければならないので、テレワークへの移行も難しくなるでしょう。
電子契約サービスは導入後、電子署名や押印、書類保管場所の周知をしておけば出社せずに済みます。自宅からすべての作業が行えるので、社員の負担を減らすことができるのです。
注文請書の収入印紙でよく寄せられる質問
とお悩みの方も多いでしょう。
ここでは、注文請書の収入印紙についてよく寄せられる質問を紹介します。
注文請書の収入印紙は発注側と受注側のどちらが貼る?
注文請書の収入印紙は書類の作成者(受注側)が貼ります。
収入印紙が必要な課税文書は、作成した時点で納税義務が発生します。注文書は依頼する発注側が発行しますが、請負契約に該当する注文請書を発行するのは受注側なので、依頼を受けた人が印紙税を支払わなければなりません。
課税文書の作成時期及び作成者
【照会要旨】
課税文書を作成した場合、どの時点で印紙を貼るのでしょうか。また、誰が納税義務者になるのでしょうか。
【回答要旨】
1 作成時期
印紙税は、課税文書を作成した時に納税義務が成立し、その作成者が納税義務を負うことになります。
引用元:課税文書の作成時期及び作成者|国税庁
注文請書の収入印紙には消印と割印のどちらも必要?
注文請書を作成する場合、割印は不要ですが、消印は必要です。
割印とは、2部の書類をまたぐように印鑑を押すことです。
2部の書類をまたぐことで、それぞれの書類が同じ内容であると証明できます。受注側と発注側それぞれが同じ内容の書類を所持する際に、割印をします。
消印とは、課税文書に貼り付けた収入印紙を再利用できないよう、収入印紙にまたがって押印、または署名することです。
消印は書類の作成者が行います。注文請書は割印が不要なので、発注側が受け取る一部のみ発行されるのが一般的となっています。消印は貼り付けた収入印紙の再利用を防ぐために行うものなので、書類を作成する際は、忘れずに消印をしましょう。
収入印紙を貼り忘れてしまったらどうなる?
課税文書に収入印紙を貼り忘れると、過怠税が科せられるため、注意が必要です。
過怠税は印紙税額と印紙税額の2倍の金額を合計したもの、つまり印紙税額の3倍となります。たとえば、200円の印紙を貼り忘れた場合は、200円(印紙税額)+400円(過怠税)=600円を支払わなければなりません。
ただし、課税文書の作成者が印紙税の貼り忘れを指摘される前に、管轄の税務署に申し出た場合は印紙税の額と印紙税額の10%の合計金額の支払いで済みます。たとえば、200円の印紙貼り忘れを申し出た場合は、200円(印紙税額)+20円(印紙税額の10%)=220円です。
反対に、契約金額よりも多い収入印紙を貼り付けた場合は還付を受けられます。
還付の対象となるケースは以下の通りです。
- 課税文書に貼り付けた印紙税額が過分だった
- 課税文書に該当しない書類に収入印紙を貼り付けた
- 課税文書に収入印紙を貼り付けたものの、使用する見込みがない
No.7130 誤って納付した印紙税の還付
[令和5年4月1日現在法令等]
還付の対象となるもの
1 請負契約書や領収書などの印紙税の課税文書に貼り付けた収入印紙が過大となっているもの
2 委任契約書などの印紙税の課税文書に該当しない文書を印紙税の課税文書と誤認して収入印紙を貼り付けてしまったもの
3 印紙税の課税文書の用紙に収入印紙を貼り付けたものの、使用する見込みのなくなったもの
引用元:No.7130 誤って納付した印紙税の還付|国税庁
該当する場合は、管轄の税務署に出向き、還付手続きを行いましょう。
収入印紙には消費税もかかる?
収入印紙は非課税なので、購入する際に消費税はかかりません。
収入印紙を購入できる場所は郵便局や法務局、コンビニなどが該当します。購入場所として認められているところで購入すれば、消費税を払わずに収入印紙を入手できるでしょう。しかし、購入場所として認められていない金券ショップで入手する際は注意が必要です。
収入印紙にかかるお金だけでなく、消費税も発生するため、余分にお金を支払わなければなりません。
偽物の収入印紙を取り扱っている可能性もあるので、郵便局や法務局で購入しましょう。
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請負契約に該当する注文請書を作成する際は、収入印紙を貼り付ける必要があります。収入印紙を購入する手間とコストを削減したいなら、電子契約サービスを導入するのがおすすめです。紙ではなく、電子ファイルでやり取りをすれば、収入印紙の手間を省くだけでなく、業務効率も向上させることができます。
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