クラウドサインSCANとLegalForceキャビネは、いずれも利用しやすい契約書管理システムとして多くのユーザーを獲得しています。とはいえ、それぞれの搭載機能や強みは異なるため、契約書管理システムを導入する際は自社に適しているサービスを選ぶことが大切です。
そこで本記事では、クラウドサインSCANとLegalForceキャビネそれぞれの特徴を徹底比較します。機能や強みなどさまざまな観点から各サービスの利用が適している企業を解説しますので、契約書管理システム選びの失敗を回避できます。
クラウドサインSCANとLegalForceキャビネそれぞれの特徴を把握し比較したうえで、自社に適した契約書管理システムを選びましょう。
契約書管理システムとは
契約書管理システムとは、入力・検索・更新期限の通知など、契約書を適切に管理するための機能を備えたシステムのことです。
従来、Microsoft Excelを用いて契約書管理を行うケースが主流でした。Excelを用いる場合、担当者への教育や利用料が不要となるためにコストを抑えられる点が魅力ですが、契約書や関連書類の一元管理・共有・有効期限の通知設定ができません。また、利用者の把握や権限管理も難しいため、セキュリティ面の不安が拭えませんでした。
そこで、契約書管理システムを用いると、契約書や関連書類を一元管理し、有効期限のアラートを設定できます。また、電子データとして管理するため保管場所に困らないうえ、複数人での共有も可能であり多段階で閲覧権限を付与できる点もメリットです。
電子契約サービスとの違い
企業規模で電子契約を効率的に管理・運用したい場合、電子契約サービスと連携した契約書管理システムを導入することが望ましいです。
電子契約サービスとは、紙や印鑑の代わりに電子文書で契約締結まで完了できる電子契約をサポートするサービスのことです。電子契約サービスと連携した契約書管理システムを利用することで、以下のようなメリットが得られます。
- 契約書の作成、締結、管理などの業務を効率化・一元化できる
- 電子契約書と紙の契約書を一元管理できる
クラウドサインSCANとLegalForceキャビネの比較表
契約書管理システムの概要を把握したところで、その中でも知名度の高いサービスであるクラウドサインSCANとLegalForceキャビネの特徴を比較します。クラウドサインSCANとLegalForceキャビネを比較するにあたって役立つ情報として、それぞれの契約書管理システムに見られる代表的な特徴を下表にまとめました。
クラウドサインSCAN | LegalForceキャビネ | |
---|---|---|
運営会社 | 弁護士ドットコム株式会社 | 株式会社 LegalOn Technologies |
初期費用(税込) | 要問い合わせ | 要問い合わせ |
月額費用(税込) | 11,000円〜 | 要問い合わせ |
契約書テンプレート | △ (連携サービスの利用で対応可能) | – |
承認・締結 | △ (連携サービスの利用で対応可能) | – |
髪の契約書の取り込み | ◯ | ◯ |
文書の検索 | ◯ | ◯ |
期限管理リマインダー | ◯ | ◯ |
※掲載データは2023年2月時点のものです。
クラウドサインSCANの概要と特徴

クラウドサインSCANとは、日本の法律に特化した弁護士監修の契約書管理システムです。手元にある紙の契約書をまとめて発送するだけで契約書がデータ化され、電子契約サービスであるクラウドサイン上で締結したものと一元管理できます。
クラウドサインSCANの特徴を以下に列挙しました。
- 契約書のスキャン・データ入力を全て代行
- 導入から運用、書類返却までのスムーズな流れ
- 契約更新・終了間近の契約書を自動で通知など、リスク管理機能も充実
- 契約書を安全に守る
- 連携によるさまざまなソリューションの実現
それぞれの特徴を順番にわかりやすく解説します。
契約書のスキャン・データ入力を全て代行
クラウドサインSCANを導入すると、スキャンやデータ入力を自社で行う手間が省け、書類のスキャンからクラウドサインへの書類情報入力までを一貫して行ってもらえます。
事務の負担が少なくなることから、各社員が本来の業務に集中できるようになります。たとえ契約書が多くなる繁忙期であっても、臨時でアルバイトを雇用したり既存の社員に残業を求めたりすることがなくなり、人件費の削減につながります。
過去の契約書がある場合、そのデータを全てスキャンし、契約日など書類情報の入力も全て代行してもらえます。導入に手間がかからず、気軽にクラウド保存する契約書の使用に切り替えることが可能です。
そのほか、クラウドサイン上の書類情報の入力でき、データのインポートも代行してもらえるため、リーガルテックに詳しい担当部署がなくても安心して依頼できます。
導入から運用、書類返却までのスムーズな流れ
導入から運用までの手順を簡単に説明すると、まず問い合わせを行った後、提供会社によりヒアリングが実施されます。その後、申し込んでスキャンしたい契約書を提供社に発送すると、スキャン作業・書類情報入力・OCR作業を代行してもらえます。これらが完了すると書類は返却されますが、オプションで倉庫に預けることも可能です。
契約更新・終了間近の契約書を自動で通知など、リスク管理機能も充実
契約書のスキャンや入力の代行が済むと、取り込まれたデータはすぐに検索できるようになります。アラート機能を利用すれば、更新日や終了日が近づいた際に管理者に自動でメールが送られるため、抜け漏れの防止が可能です。手間をかけずに契約書管理が行え、リスクも低減できる点は大きなメリットです。
契約書を安全に守る
クラウドサインSCANには、万全なセキュリティ体制が敷かれています。暗号化通信に対応しており、通信はSSL・TLSで常に暗号化されています。そのため、通信の盗聴・傍受・改ざん・なりすましなど、さまざまなリスクに対応することが可能です。
昨今は機密情報を人質にしたサイバー犯罪が横行しているため、契約書管理システムを導入する際は入念な対策が求められます。
連携によるさまざまなソリューションの実現
クラウドサインSCANに取り込んだ契約書をクラウドサイン上に保管すれば、会社のPCだけでなく、自宅・出張・移動中のスマートフォンでも契約書を確認できるようになります。別途、管理台帳を用意する必要はありません。また、すでにPDF化している書類に書類情報を付与し、クラウドサインに保管することも可能です。
そのほか、クラウドサインと連携することで、以下のソリューションが実現します。
- クラウドサイン上で電子と紙の契約書を一元管理することで、契約書を検索する手間の激減およびスピードの向上につながる
- スキャンやデータ入力の手間なく電子化が可能
- アラート機能で契約書の終了・更新確認が容易に行える
LegalForceキャビネの概要と特徴

LegalForceキャビネとは、締結後の適切な契約管理をサポートする「AI契約管理システム」です。契約書作成が多く契約書管理で時間がかかることで他の業務ができないといった悩みを抱えている企業に対し、AIを用いたソリューションで契約締結後の適切な管理をサポートしています。
AI技術に関しては、国内トップの研究者機関出身者や米国大手テック出身者などが在籍する研究部門を設置し、契約書言語処理を中心とする要素技術の研究・開発を手掛けており、技術力に定評があります。
LegalForceキャビネの特徴を以下に列挙しました。
- 利用人数による追加費用がかからない
- PDFファイルを999件まで一括アップロード可能
- PDFデータから全自動でテキストデータ化可能
- あらゆる契約書をすばやくデータ化でき、契約管理の手間を省ける
- 締結後、契約書の監視体制を構築することで余裕のあるリスク管理が可能
- 関連契約書の紐付け登録・変更および派⽣契約を含む合意内容にどの契約書からもアクセスが可能
ここからは、LegalForceキャビネの特に目立った3つの特徴を順番にわかりやすく解説します。
AIによる自動で手間のない管理台帳作成を実現
LegalForceキャビネを活用すると、アップロードした契約書から当事者名・契約書の開始⽇や終了⽇・⾃動更新の有無といった情報がAIによって⾃動抽出され、契約管理台帳への登録が行われます。
また、LegalForceキャビネで⾃動作成・情報登録された契約管理台帳は、Excel形式でダウンロードすることも可能です。そのほか、外部の電⼦契約サービス(GMOサイン、クラウドサイン)と連携させれば、電⼦契約で締結した契約書も管理できるようになります。
全社での運用を可能にする、柔軟な閲覧権限管理
LegalForceキャビネでは、契約書の閲覧権限を所属組織やユーザーごとに設定することが可能です。
営業部門と管理部門と共有する契約書、人事部門のみが閲覧できる契約書など、自在に設定できるため、全社での運用にも適しています。また、契約書ごとに担当者を設定できるため、契約書の管理を担う担当者も⼀⽬見てわかり、締結済みの契約書の放置を防止できます。
更新期限の自動リマインドなど抜け漏れ回避の機能を搭載
LegalForceキャビネでは、AIが契約の終了や更新に関する期⽇を⾃動で計算し、メールでリマインドしてくれるため、不要な契約を更新したり、重要な契約を不本意に終了させたりしてしまうことを防⽌できます。
また、LegalForceキャビネでは、後で確認を要する契約書にフラグを付けておくことも可能です。フラグは契約書一覧画面でも表示され、絞り込んで検索することも可能なので、懸念点のあった契約書をすぐに見つけられるでしょう。
クラウドサインSCANとLegalForceキャビネを比較検討する人からよくある質問
最後に、クラウドサインSCANとLegalForceキャビネを比較検討する人からよくある質問と回答をまとめました。
契約書管理システムの選び方は?
契約書管理システムを選ぶ際は、以下のポイントを重視しましょう。
- セキュリティ対策がしっかりしているか
- 機能がわかりやすく誰でも使えるような操作性か
- 管理に必要な機能が備わっているか
- データ化の精度が高いか
- 検索機能の精度が高いか
契約書管理システムを選ぶ際は、セキュリティ面に配慮されたシステムかどうかが特に重要なポイントです。管理がずさんだと情報漏えいにつながるおそれがあるため、安全に管理ができるシステムを選びましょう。
例えば、アクセス権限を設定できたり、ログで誰がどの文書をいつ操作したかがわかったりするようなシステムであれば、セキュリティ対策が講じられているといえます。また、ダウンロードや印刷時も、セキュリティ機能がついているシステムであれば安心して操作しやすいです。
クラウドサインSCANの利用が向いているケースは?
本記事で取り上げた特徴を踏まえると、クラウドサインSCANの利用が向いているのは、以下のようなケースです。
- クラウドサインをすでに導入している(もしくは導入を検討している)
- 知名度の高い会社のシステムを利用したい
- 導入から運用までスムーズに手続きを済ませたい
上記のケースにひとつでも該当する場合、クラウドサインSCANの導入を検討してみるとよいでしょう。
LegalForceキャビネの利用が向いているケースは?
本記事で取り上げた特徴を踏まえると、LegalForceキャビネの利用が向いているのは、以下のようなケースです。
- 契約書管理システムの全社での運用を考えている
- クラウドは便利だが、契約書の閲覧権限を設定したい
- 管理台帳の作成が面倒だが、記入ミスが怖いので自動化したい
上記のケースにひとつでも該当する場合、クラウドサインSCANの導入を検討してみるとよいでしょう。
まとめ
この記事では、契約書管理システムであるクラウドサインSCANとLegalForceキャビネを徹底比較しました。それぞれに備わっている機能や発生する料金などは大きく異なるので、見積もりを行ったうえで、自社のケースに適した契約書管理システムを導入してください。
一例を挙げると、クラウドサインをすでに導入している場合にはクラウドサインSCANを、クラウドは便利だが契約書の閲覧権限を設定したい場合にはLegalForceキャビネを導入するのがおすすめです。