近年、書類の作成や締結に電子印鑑を使用することも増えてきました。しかし、紙へ実際に押印する印鑑ではなく、電子データとして押印する電子印鑑のセキュリティには問題はないのでしょうか。電子印鑑を利用して、ビジネス上のリスクは生じないのでしょうか。
本記事では、電子印鑑のセキュリティを高め、偽造を防止するための方法を紹介します。
目次
手軽な電子印鑑の作成方法
まず、システムやツールを使わず、比較的簡単に電子印鑑を作成する方法を見ていきましょう。
スキャナで印鑑画像を取り込んで電子印鑑を作成
実際の印鑑の印影を紙に押印して、それをスキャナで取り込み、画像化して保存することで電子印鑑を作成できます。画像化した印影をExcelやWordのファイルに貼り付けて保存するだけで電子印鑑にすることが可能です。
ExcelやWordで電子印鑑を作成
Microsoft Excel、Microsoft Word(以下、Excel、Word)などのソフトでは、図形やテキストボックスを組み合わせて印影のようなデザインを作ることができます。そのデザインに社名や名前などを挿入すれば、それを電子印鑑として利用できるようになります。
Adobe Acrobat Readerで作成
無料で利用できるPDFファイル閲覧ソフトAdobe Acrobat Readerには、スタンプ機能があり、それを利用して電子印鑑を作成することができます。このスタンプの注釈機能には、日付印、検印、ネーム印などのフォーマットが用意されているほか、社名や名前なども作成でき、簡単に電子印鑑を作成できるようになっています。このスタンプ機能を利用して、スキャナで取り込んだ印影画像を電子印鑑にする方法もあります。
フリーの電子印鑑作成ソフトで電子印鑑を作成
フリーソフトとして用意されている電子印鑑作成ソフトを使用して、電子印鑑を無料で作成することもできます。このようなフリーソフトは、事前に印影をスキャンする必要はなく、ソフト単体で電子印鑑を作成できます。また、フリーの電子印鑑作成ソフトにはさまざまな種類が用意されていますので、自分が好きなデザインの印影を選ぶことができます。
電子印鑑のセキュリティは安全なのか
しかし、このように費用をかけずに簡単に作成した電子印鑑を利用する場合、セキュリティ面は脆弱です。
たとえば、印影の画像データをフリーソフトで作成した電子印鑑は、簡単にデータのコピーができてしまいます。また、実際の印鑑を押印した画像をスキャンして電子印鑑化することも可能ですが、同じく画像のコピーができてしまうため、セキュリティ性は低いと言えるでしょう。
さらにこのような電子印鑑には、誰が、いつ押印したかなどといった識別データが付与されていないため、悪意を持ってコピーされた電子印鑑でも本人が押印したのか、それとも偽造されたのかを見分けることができないのです。
セキュリティ性が低い電子印鑑は、従来の認め印の代わりに社内回覧などに対して押印する程度であれば問題はないと言えます。ただし、契約印や実印レベルでの代替として使うことはできません。
セキュリティ対策がされている電子印鑑とは
実印や契約印レベルで電子印鑑を使いたいのであれば、セキュリティ対策が強化されたものを使用しなければなりません。電子印鑑に、印影のコピー防止機能や書類改ざん防止機能、悪用防止機能などのセキュリティ対策が付与されていれば、誰が、いつ押印したかを明確にできます。ビジネスの現場においては、このような電子印鑑を利用することが求められます。
セキュリティ対策が施されていない電子印鑑を利用するとどうなる?
電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤が整備された電子署名法は、2001年4月1日から施行されています。この法律が施行されて以降、電磁的記録(電子文書など)に、本人による一定の電子署名が施されているときには、電子文書は真正に成立したものと推定され、電子印鑑が世間に広まるきっかけになりました。
しかし、Adobe Acrobat ReaderやExcel、Wordなどで作成した電子印鑑や、印影をスキャンしただけで作成した電子印鑑では、誰がいつ押印したのかといった識別データは付与されておらず、セキュリティ対策としては無防備だと言えます。そのため、印鑑登録された実印の押印と同様の法的効力を持たせることは難しい状況です。
また、書類を渡した相手側から受け取りを拒否されたり、契約書の法的な有効性にも疑問符が生じたりするなど、ビジネス上のリスクとなることもあるでしょう。さらに印影の画像データを悪用して、印鑑自体や印影を偽造される可能性も考えられます。
電子印鑑の改ざん防止をするためには
電子印鑑の場合、改ざん防止のために大事なのは、印影自体のデザインよりもセキュリティ性の高い電子署名であるかどうかだと言えます。
最もセキュリティ性の高い、実印レベルの電子印鑑とは?
電子印鑑(電子署名)のセキュリティ性を高めるには、本人が押印した電子印鑑であることを電子証明書によって証明しなくてはなりません。
紙に押印する実印の場合、役所に印鑑登録をした後に印鑑証明を発行してもらうことで、「自分の実印である」と証明することができます。
電子署名(電子印鑑)の場合も同様に、電子認証局という第三者機関に電子証明書を発行してもらうことによって「間違いなく本人である」という証明ができます。
このような電子印鑑の改ざん防止対策を行うためには、電子契約システム「電子印鑑GMOサイン」が最適です。
契約印レベルなら、手間や負担を軽減する電子サイン
電子証明書を使用する場合、契約相手も電子認証局への事前申請が必要となり、手間や負担を生じさせてしまいます。それを回避するため、電子印鑑GMOサインのような電子契約システムでは、電子サインという方法で本人性を証明する手段も用意しています。
電子サインとは、メール認証により本人性を証明する方法です。
まず、契約相手に対して契約締結用URLを電子メールで送信します。そして、そのメール内に記載されたURLからのみ、契約手続きを進められるので、本人性を担保できるのです。
ただしこの電子サインの方法では、第三者がメールをのぞき見てしまう可能性もあり得ます。高度な本人性の担保が必要な重要な契約では、電子証明書を利用するほうが良いでしょう。
認定タイムスタンプで非改ざん性を証明
一方で、いくら電子印鑑のセキュリティ性を高めても、電子書類のデータ自体が改ざんされてしまう可能性もあります。
電子印鑑GMOサインは、このような改ざん対策も用意しています。
タイムスタンプという方法で、記録した時刻にその文書が存在していた存在証明と、その時刻以降に文書が改ざんされていない非改ざん証明を行うものです。
タイムスタンプは、総務大臣が認定している時刻認証業務認定事業者(TSA)によって付与されているので安心して利用することができます。
電子印鑑GMOサインを導入して電子印鑑の偽造を防ぎましょう
電子印鑑は、フリーソフトなどで費用をかけずに簡単に自作できます。しかし、本人が押印したことを証明できる、偽造ができない電子印鑑を自作することは難しいのです。高いセキュリティを実現する電子印鑑を簡単に作成したいのであれば、電子印鑑GMOサインの導入を検討しましょう。
電子印鑑GMOサインなら、実印に相当する電子証明書を利用した電子署名にも、契約印に相当する電子サインにも対応しています。
電子署名法の要件を満たしており、安心して利用できる電子契約サービスといえるでしょう。電子印鑑GMOサインのセキュリティ性について詳しく確認されたい方は、こちらのページより資料請求をお申し込みください。電子印鑑GMOサインのセキュリティ体制について記載したセキュリティガイドをお送りします。ぜひこちらの資料もご覧いただき、ご検討ください。