オンラインで契約締結ができるため業務効率化が図れる電子契約サービス。印紙税がかからずコストダウンも実現できることから導入する企業が増えています。
「クラウドサイン」は、電子契約サービスの代表格として知名度が高く導入を考えている方も多いでしょう。一方「BtoBプラットフォーム契約書」というサービスもあります。BtoB業務に関するノウハウが凝縮されており、気になる方もいるのではないでしょうか。
今回はクラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書のサービス内容を比較し、それぞれのメリット・デメリットを紹介します。また、電子契約サービスを上手に選ぶポイントについてもお伝えします。ぜひ電子契約サービスの導入にお役立てください。
クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書の概要
初めに、クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書のサービス概要を紹介します。サービスの比較にあたって、料金や機能などの基本的な情報をしっかりと押さえましょう。
クラウドサイン | BtoBプラットフォーム契約書 | |
---|---|---|
料金(月額) | ・FREE:0円 ・Light:11,000円 ・Corporate:30,800円 ・Enterprise:要問い合わせ | ・フリープラン:0円 ・シルバープラン:10,000円 ・ゴールドプラン:30,000円 |
導入実績 | 130万社以上 | 70万社以上 |
導入企業の例 | ・トヨタ ・みずほ証券 ・東京海上日動 ・大和ハウス ・スクウェア・エニックス ・茨城県庁 | ・クリナップ ・サイバーエージェント ・野村総合研究所 ・ニッセンホールディングス ・エイブル ・全日本食品 |
電子契約のタイプ | 立会人型 | 当事者型 |
機能 | ・テンプレートの作成・管理 ・英語・中国語での契約締結 ・AIによる契約書管理 ・複数部署での管理機能 | ・テンプレートの作成・管理 ・クラウド上での契約書保管 ・契約期限アラート ・ワークフローシステムの活用 |
セキュリティ | ・データの暗号化・不正アクセスの防止 ・アカウントの保護 ・認定タイムスタンプ利用による証拠力の担保 | ・データの暗号化 ・不正アクセスの監視 ・定期的なバックアップ ・ブロックチェーン技術採用 によるデータ改ざんの防止 |
連携可能なシステム | ・Slack ・freee ・LINE WORKS など多数 | ・API連携 ※ゴールドプランのみ |
どちらも有名企業をはじめ多くの企業が導入している良質なサービスであることがわかります。一方で、料金や機能などには明確な違いが見られます。
ここからは、次の3点についての比較をしていきましょう。
- 料金
- 機能
- 導入した企業の声
クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書の料金を比較
新たなシステムを導入する場合、コストの比較は重要なファクターとなります。クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書の月額料金やランニングコストについて比較してみましょう。
月額料金を比較
クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書の月額料金は以下のようになっています。
クラウドサイン | BtoBプラットフォーム契約書 | |
---|---|---|
月額料金 | ・FREE:0円 ・Light:11,000円 ・Corporate:30,800円 ・Enterprise:要問い合わせ | ・フリープラン:0円 ・シルバープラン:10,000円 ・ゴールドプラン:30,000円 |
電子署名の送信費用 | 220円/件 ※FREEプランは無料 | 通常署名:50円/件 長期署名:150円/件 ※フリープランは無料 |
導入にかかる料金は、BtoBプラットフォーム契約書の方が安いです。
月額料金については両者にあまり差はありませんが、電子契約に必須の電子署名の送信費用で違いが出てきます。クラウドサインは1件あたり220円ですが、BtoBプラットフォーム契約書は最大でも150円しかかかりません。通常の署名は50円とクラウドサインに大きく差をつけています。
ランニングコストを比較
ランニングコストも、BtoBプラットフォーム契約書が優位です。月に10件電子契約を締結したとすると、クラウドサインは電子署名の送信費用で2,200円かかります。一方、BtoBプラットフォーム契約書は最安で500円、最高でも1,500円と、700円〜1,700円の差が生まれます。
契約件数が増えれば増えるほど署名の送信件数も多くなるため、BtoBプラットフォーム契約書の方が、低コストで運用できるでしょう。
クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書の機能面を比較
電子契約サービスを導入しても、使いづらければ業務の効率が落ちてしまう可能性があります。使用するシーンを想定しながら、クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書の機能を比較してみましょう。
電子契約のタイプを比較
クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書では、電子契約のタイプが異なります。
- クラウドサイン:立会人型
- BtoBプラットフォーム契約書:当事者型
立会人型は、データにサービス提供者名義の電子署名を付与するタイプで、相手方に手間をかけずスピーディーに契約締結ができるのが特徴です。第三者の電子署名を利用しますが、メールアドレス等による本人確認を行ったうえで締結するため、法的効力も保証されています。
当事者型は、契約者同士が互いに自身の電子署名を付与するタイプで、証拠力を高めてなりすましや改ざんのリスクを少なくできるのが特徴です。相手方への手間はかかりますがセキュリティは強固なため、安心して電子契約ができます。
どちらのタイプの電子契約を選ぶかによって導入するサービスも変わるため、電子契約のタイプの違いによる特徴は事前に確認しておきましょう。
サービス導入でできることを比較
クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書はサービスごとに特色があり、できることも異なります。
クラウドサインでできることは非常に多く、以下のように業務効率を大幅に上げられる機能を豊富に備えています。
- 契約書等の一元管理
- AIによる書類の情報管理
- 複数部署での利用を想定した管理機能
- 承認権限・アクセス権限などのカスタマイズ
特筆すべき点は、AIによる情報管理です。AIが情報を自動で読み取り、管理してくれます。企業名や契約開始日・終了日、取引金額などが一目見てわかるようになるため、余計な手間がかかりません。
また、複数の部署で使える機能もあるため会社全体で導入しやすく、権限設定も自由に行えるため汎用性高いサービスとなっています。
対して、BtoBプラットフォーム契約書でできることは以下のとおりです。
- 契約書等の一元管理
- 権限管理
- 質問機能
- BtoBプラットフォームの別サービスもすべて1つの画面で管理
質問機能は、相手方とのチャット機能のようなものです。履歴が残るため、必要に応じて過去のやり取りを見返すこともできます。
また、BtoBプラットフォーム契約書は、BtoBプラットフォーム系列の別サービスも1つの画面で管理できます。BtoBプラットフォームのサービスをすでに導入している場合は、使い慣れたインターフェースで契約業務を行えるため安心です。
クラウドサインはより幅広い機能を使うことができ、BtoBプラットフォーム契約書はシンプルに契約事務を行うことができます。お試しで使用して、使い心地を確かめてみるとよいでしょう。
外部サービスとの連携性を比較
外部のサービスと連携することで、スムーズなデータのやり取り、業務の自動化などを実現できます。クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書の外部サービスとの連携性を比較しましょう。
クラウドサインは連携できる外部サービスが100以上と豊富で、データ連携・チャットツール・業務自動化ツールなど様々なサービスと連携が可能です。連携できるサービスの例を紹介します。
- Slack
- LINE WORKS
- kintone
- freee会計
- oproarts
- Dataspider
例えば、チャットツールと連携すれば、外出先でも契約の締結状況を確認できます。管理システムとの連携では、他サービスで作成したデータをクラウドサイン上に保管できるため、データの一元管理が可能です。業務の手間を大幅に省けるため、外部サービスとのスムーズな連携はクラウドサインの強みとなっています。
BtoBプラットフォーム契約書は、API連携やBtoBプラットフォームの他サービスと連携が可能です。ただし、クラウドサインとは異なり外部サービスとの連携はできません。外部サービスとの連携性は、クラウドサインに分があるといえるでしょう。
クラウドサインやBtoBプラットフォーム契約書を導入した企業の声を比較
クラウドサインやBtoBプラットフォーム契約書を導入した企業は、どのように導入を検討し、どういった使い方をしているのでしょうか。また、導入効果はあったのでしょうか。実際にサービスを導入した企業の声を紹介します。
クラウドサインを導入した企業の声
クラウドサインを導入した企業の声を、以下にまとめました。
ソフトバンク株式会社
引用元:クラウドサイン|導入事例
- 導入した理由
サービス全体を通して法律に準拠した安心感があった。また、画面デザインが見やすく簡単に操作ができる点も気に入った。- 現在の利用状況
法人向けサービスの申込書管理に利用。社内調整などは苦労したが、複数部署で話し合いを重ね、現在は多くの部署で利用している。- 導入効果
業務スピードが格段に上がり、別の業務に時間を割けるようになった。また、保管作業も不要になったためコスト削減にもつながった。
三菱地所株式会社
引用元:クラウドサイン|導入事例
- 導入した理由
テレワーク体制を整えるのが最重要課題だったため、導入を検討。クラウドサインの署名権限カスタマイズが自由にできる点を評価した。また、国内シェアや認知度の高さ、サポート体制の手厚さにも力を感じ、導入した。- 現在の利用状況
秘密保持契約、業務委託契約など、取引先企業との契約に利用している。今後は、不動産関係の書類でも利用したいと考えている。- 導入効果
テレワーク体制を確立でき、コスト削減も実現できた。以前は契約の締結に時間がかかり苦労していたが、簡単に契約事務を進められるようになった。
株式会社クラウドワークス
引用元:クラウドサイン|導入事例
- 導入した理由
サービスの受発注を紙面で行っていたため、工数の効率化とペーパーレスの実現を目指したかった。- 現在の利用状況
各契約で利用している。社内周知に苦労したが、詳細なマニュアル作成で乗り切った。- 導入効果
ほとんどの書類を電子化でき、各種契約も電子契約で行えるようになった。法務部門の業務負担も減り、余裕を持って業務に臨めている。クラウドサイン自体の知名度も高く、取引先にもすぐに対応してもらえる。
茨城県庁
引用元:クラウドサイン|導入事例
- 導入した理由
すでに決裁の電子化を行なっていたが、押印廃止・電子申請・電子契約などさらなるデジタル推進(DX)を行うためのステップとして導入。- 現在の利用状況
主に建設系の部署・土木系の部署で利用している。公共工事や道路保全、交通量調査などの契約に利用している。- 導入効果
テレワークでも対応できるようになり、業者にわざわざ来聴してもらう必要もなくなった。印紙税や郵送代などのコストも減り、行政のデジタル化に大きく貢献しているなと感じる。
BtoBプラットフォーム契約書を導入した企業の声
BtoBプラットフォーム契約書を導入した企業の声を、以下にまとめました。
株式会社クオカード
引用元:BtoBプラットフォーム契約書|導入事例
- 導入した理由
書類管理の事務を効率化したく導入を検討。取引先も利用するサービスのため、法令遵守を重要視した。その中で、BtoBプラットフォーム契約書は法令対応への説明も的確で信頼が持てたため導入した。インターフェースが使いやすかったのも決め手の一つとなった。- 現在の利用状況
契約に関する書類管理で利用中。コロナ禍における業務改革として、有効活用ができている。- 導入効果
BtoBプラットフォーム契約書を中心に据えたワークフローを構築したことで業務スピードを高められた。書類探しなどの雑務の手間が省け、ミスが減った。
株式会社日本アクセス
引用元:BtoBプラットフォーム契約書|導入事例
- 導入した理由
多数の企業と契約締結をすることとなり、作業量やコストの増加が課題となったため導入を検討。取引先へのサポートをしてくれる点に惹かれ、導入した。- 現在の利用状況
商品売買契約や秘密保持契約など、契約書の締結で利用している。今後はさらに多くの契約で利用したいと考えている。- 導入効果
約100万円のコスト削減ができた。また、これまで営業担当の従業員が担っていた契約業務を営業サポート担当に回すことができたため、営業担当が本来の業務に専念できるようになった。取引先のサポートはBtoBプラットフォーム契約書が行ってくれたため、理解を得ることができた。
電子契約サービスを上手に選ぶ4つのポイント
自社に合った電子契約サービスを選ぶには、4つのポイントが重要です。導入の際に参考にしてください。
1.電子契約を導入する目的を明確にする
なぜ電子契約を導入するのかを明確にしておくと、自社の課題や業務の方向性が見えてくるため、会社に合うサービスを選びやすくなります。「便利そう」「今導入しておけば後々使えそう」といった曖昧な理由で導入を決めてしまうと、使いこなせず損しかねないため注意しましょう。
2.コストが導入効果に見合うか検討する
電子契約サービスを本格的に導入するとなれば、原則有料プランでの契約となります。費用対効果を検証しておくと、サービスを導入すべきかどうかを見極められます。
印紙税や郵送費などのお金に関する面に加えて、業務にかかる時間をどれだけ削減できるかという観点についても検証しておくと、導入が適切かどうか判断しやすくなるでしょう。
3.セキュリティに問題がないか確認する
データの流出や改ざんを防ぐには高度なセキュリティが必要です。サイバー攻撃を完全に防げるセキュリティシステムは存在しないため、サービスを提供する各社のセキュリティシステムが信頼できるものかどうかを見極めておきましょう。
セキュリティ機能と導入費用を比べながら、納得できるサービスと契約するとよいでしょう。
4.契約の法的効力が担保されるか確認する
契約書が法的効力を持つには「いつ契約したか」「誰が締結したか」「改ざんはされていないか」がポイントとなります。これらの証明には「タイムスタンプ」「電子署名」「電子証明書」の3つが必要です。
特にタイムスタンプと電子署名は、契約書の法的効力を担保するには必須の機能です。これらの機能を備えているサービスを導入するようにしましょう。
まとめ
ここまで、クラウドサインとBtoBプラットフォーム契約書について、料金、機能、導入企業の声を比較してきました。どちらも特色あるサービス内容となっており、適切に導入すれば大きな効果を発揮してくれるでしょう。
ワークフローにマッチするサービスを導入できるよう、どちらが自社にあっているかを検証し、選ぶポイントも重視しながら検討してみてください。