アナログの署名・捺印の文化が根強く残る一方で、業務のデジタル化推進の一環として電子契約サービスの導入を検討している企業も増えてきています。
本記事では無料で使えるおすすめの電子契約サービスを紹介しているほか、電子契約サービスの選び方や無料のものと有料のものとの違いについてわかりやすく解説していますので、ぜひ参考にして下さい。
無料で使えるおすすめの電子契約サービス6選
アカウント数 | 送信件数 | タイムスタンプ | アドレス帳 | 対象企業規模 | 有料プラン月額 | |
GMOサイン | 1人 | 5件/月 | あり | あり | 全ての規模に対応 | 9,680円~ |
みんなの電子署名 | 無制限 | 無制限 | なし | あり | 全ての規模に対応 | 500円 (50文章を1年以上保管の場合) |
クラウドサイン | 1人 | 5件/月 | あり | なし | 全ての規模に対応 | 11,000円~ |
e-sign | 1人 | 無制限 | なし | なし | 全ての規模に対応 | なし |
BtoBプラットフォーム契約書 | 無制限 | 5件/月 | あり | なし | 全ての規模に対応 | 10,000円~ |
Adobe Sign | 1人 | 2件/月 | あり | なし | 全ての規模に対応 | 1,518円~ |
【導入企業数No.1】GMOサイン

・アカウント数:1人
・送信件数:5件/月(無料プラン利用時)
・タイムスタンプ:あり
・アドレス帳:あり
・対象企業規模:全ての規模に対応
・有料プラン参考価格:月額9,680円~
GMOサインは、様々なITサービスを提供するGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が運営する電子契約サービスです。
実績のある大手企業が運営しているため、他社と比較すると信頼性が高く、無料プランも期間制限がなく利用可能と、初めて電子契約を利用する方におすすめです。
メリット
デメリット
GMOサインは完全無料のお試しフリープランでも、必要十分な機能を有していますが、有料プランにてセキュリティ・内部統制パックなどの各種オプションパックを利用することでより便利に活用可能です。
電子署名において重要な機能のひとつにタイムスタンプがありますが、GMOサインは、無料プランで利用可能であり、大きなメリットのひとつとして挙げられます。
また、Salesforceやkintoneなどの外部システムと連携が可能で、各システムのデータを活用することで書類作成から署名依頼までシームレスな業務を行うことが可能です。
デメリットとして、送信コストが気になる点が挙げられますが、無料のお試しフリープランを利用すれば送信料は0円のため、GMOサインの評価を下げるほどではありません。
月の送信数の上限が月5件という制約があるものの、GMOサインはコストをかけずに手軽に電子契約を利用したい方におすすめのサービスと言えます。
【機能制限なし】みんなの電子署名

・アカウント数:無制限
・送信件数:無制限
・タイムスタンプ:なし(別サービスとして提供)
・アドレス帳:あり
・対象企業規模:全ての規模に対応
・有料プラン参考価格:1年以上文書保管時、50文章ごとに500円/月
メリット
デメリット
みんなの電子署名は、初期費用や基本利用料金などがなく、完全無料で利用可能な電子署名サービスで、無料会員・有料会員の区別がありません。
有料となるサービスは文書保管のみとなっており、1年以上の利用で50文書に付き500円/月の料金が発生します。
コストをあまりかけずに利用可能な大きなメリットを持ちますが、みんなの電子署名はタイムスタンプ機能を内包していません。
したがって、タイムスタンプを利用する際には、別サービスである「みんなのタイムスタンプ」を併用しなければならないため、わずかながら煩わしい点がネックです。
総じて、みんなの電子署名は無料・有料問わず一定の機能を利用したい方におすすめのサービスと言えます。
【高い信頼性】クラウドサイン

・アカウント数:1人
・送信件数:5件/月
・タイムスタンプ:あり
・アドレス帳:なし
・対象企業規模:全ての規模に対応
・有料プラン参考価格:月額11,000円~
メリット
デメリット
クラウドサインは弁護士ドットコムが運営する電子契約サービスで、在籍している弁護士監修の元提供されているサービスのため、法的な観点から見て安心して利用可能な点が強みです。
また、同システムはSalesforce、kintone、Slackといった各種外部システムとの連携が容易なため、すでにこれらのシステムを業務に導入している企業であれば、更なる業務の効率化が見込めます。
法的な観点やシステムの使いやすさの両面から見ても、同システムは優れていることは疑いようがないのですが、有料プラン利用時の送信にかかる費用が1件ごとに220円と他社と比較すると高い点がデメリットと言えます。
総じて、クラウドサインは、紙の書類の押印、捺印しか信用できず法的な観点で電子契約の導入を見送っている企業や、コストをかけず無料のシステムを使いたい方におすすめです。
【完全無料】e-sign

・アカウント数:1人
・送信件数:無制限
・タイムスタンプ:なし
・アドレス帳:なし
・対象企業規模:全ての規模に対応
・有料プラン参考価格:有料プランなし
メリット
デメリット
e-signは電子契約が非常に進んだ国であるエストニアが拠点の企業「xID(クロスアイディー)株式会社」が運営する電子契約サービスです。
同社はマイナンバーカードを活用するデジタルソリューションを中心に、様々な事業モデルを創出しています。
e-signの最大の特徴は、言葉通り“完全無料”で利用できる点です。
多くの電子契約サービスは、基本無料で利用できる一方で、有料プランやオプションを備えていますが、同システムは一切の課金要素がありません。
また、スマートフォンに対応しているため、外出先であっても手軽に署名が行える点が強みのひとつに挙げられ、完全無料とは思えない利便性の高さを持っています。
惜しむらくは、タイムスタンプやワークフローが利用できない点で、これらの機能を利用したい方は、e-signは利用候補にならないでしょう。
したがって、e-signは「電子契約において一切のコストをかけたくない」「外出先で手軽に署名を行いたい」といった方におすすめのサービスです。
【堅牢なセキュリティ】BtoBプラットフォーム契約書

・アカウント数:無制限
・送信件数:5件/月(無料プラン利用時)
・タイムスタンプ:あり
・アドレス帳:なし
・対象企業規模:全ての規模に対応
・有料プラン参考価格:月額10,000円〜
メリット
デメリット
BtoBプラットフォーム 契約書はBtoBプラットフォームシリーズに定評のある株式会社インフォマートがサービスを提供する電子契約サービスです。
同システムは最新のブロックチェーン技術を採用しているため、データの改ざんや紛失に強く、安心して電子契約を行えます。
また、無料プランであってもユーザー数が無制限で、月の送信件数が5件までの制限があるものの、タイムスタンプやワークフローなど電子契約サービスとして最低限備わっていて欲しいシステムが利用可能です。
BtoBプラットフォーム 契約書は、前述の通りブロックチェーン技術によってセキュリティの堅牢性が高いですが、保管機能を存分に活かしたい場合はゴールドプランを利用しないと実感しにくい点がネックと言えます。
ただ、小規模な利用であっても、電子契約サービスにおいてセキュリティは高すぎて困ることはないため、BtoBプラットフォーム 契約書は、より安全に電子契約を行いたい方に特におすすめです。
【格安有料プラン】Adobe Acrobat Sign

・アカウント数:1人
・送信件数:2件/月
・タイムスタンプ:あり
・アドレス帳:なし
・対象企業規模:全ての規模に対応
・有料プラン参考価格:1,518円〜
メリット
デメリット
Adobe Acrobat SignはPhotoshopを始めとしたクリエイター向けの各種ソフトを開発・提供しているAdobeが運営する電子契約サービスです。
なお、Adbobe Acrobat Singを無料で利用する場合はAcrobat Reader DCをインストールする必要があり、1ヶ月に送信できる署名の数が2件までとやや少ない点がデメリットと言えます。
Adobe Acrobat Signは機能面においても他社に引けを取りませんが、電子契約サービスの有料プランは最低でも1万円前後が多い中、同システムは1,500円台から利用可能な点が魅力です。
Adobe Acrobat Signは、すでにAcrobatシリーズを契約している方や、低価格で機能が充実した電子契約サービスを利用したい方に特におすすめのサービスです。
無料と有料の電子契約サービスの違い
無料と有料の電子契約サービスの違いについて、以下の表にまとめました。
全てのシステム・サービスに該当するわけではありませんが、概ね以下の認識で問題ないでしょう。
無料 | 有料 |
・費用が発生しない ・電子契約締結における最低限の機能 ・サポート非対応 | ・契約やオプションの利用に料金が発生 ・ワークフロー、契約書の管理機能など無料では使えない多くの機能を提供 ・手厚いサポート ・高いセキュリティ対策 |
以上のことから、無料プランはあくまでお試し、および個人の利用など小規模な利用に留め、本格的な導入は業務効率やセキュリティ対策などのリスクを考慮して有料プランへの移行を検討すべきと言えます。
無料で使える電子契約サービスの選び方
電子契約サービスの多くは無料で利用可能なフリープランを提供しており、特徴や機能は多岐に渡ります。
この項目では、無料で使える電子契約サービスを選ぶ際に注目すべきポイントについて解説しますので、選択肢が多くてお困りの方はぜひ参考にして下さい。
料金で選ぶ
この記事でも紹介したように、電子契約サービスは基本料金がかからないフリープランや無料お試し期間を設けています。
ただし、企業規模や用途によっては無料で利用できる範囲の機能では要件を満たすことができない場合があり、有料プランへの移行やオプションの購入を余儀なくされます。
そういったケースになった場合、それぞれのサービスが提供するプランやオプションの価格が重要になってくるため、当初は無料で利用するつもりだったとしても、ゆくゆくのことを考えると料金は電子契約サービスの選び方の指針となり得ます。
機能性で選ぶ
無料で利用可能な電子契約サービスは数多く存在しますが、それぞれに備わっている機能は様々です。
中には、必要最低限の機能しかないサービスもあるため、少しでもコストをかけずに電子契約サービスを利用したい方は、自分の望む機能を使えるかどうかが選定基準になります。
特に、タイムスタンプ機能やワークフロー機能は最低限備わっていて欲しい機能として挙げられ、月に送信できる件数も上限も重要な要素です。
安全性で選ぶ
電子契約サービスを利用する場合において、セキュリティは最も重要な要素であり、可能な限りリスクは排除しなければなりません。
具体的に、電子契約サービスにおけるセキュリティとは、通信および保管されているファイルの暗号化やアクセス制限、利用の際の二段階認証などが該当します。
厳格な企業の場合、電子契約を締結する際に求められるセキュリティ体制が高い場合が多いため、無料の電子契約サービスとはいえ、情報漏えいなどの観点から安全性は無視できない要素と言えます。
【結論】無料の電子契約サービスでおすすめなのはGMOサイン
この記事では、無料で使えるおすすめの電子契約サービスを6つ紹介しました。
中でも特におすすめなのは、運営会社の知名度や実績、また導入実績など様々な観点から「GMOサイン」です。
肝心の機能面においても、無料プランで「タイムスタンプ」「アドレス帳」が利用可能なため、お試しおよび個人の導入に最適です。
また、IPアドレス制限、クライアント認証など、不正アクセス防止に対してのセキュリティ強化の取り組みにも力を入れており、安心して利用できる点もおすすめする理由のひとつとして挙げられます。
くわえて、SalesforceやKintoneなどのシステムを利用している企業であれば、各システムのデータを活用し、書類を作成→電子署名依頼を行えるシームレスな業務も実現可能です。
以上が、電子契約サービスの導入を検討している方にGMOサインをおすすめする理由です。