会社に必要な物品があるけれど、購入費用を用意できないとお困りではありませんか。購入費用を用意できない、購入するほどの必要性を感じていない場合は、リース契約で物品を入手することがおすすめです。
この記事では、リース契約の概要や種類についてくわしく解説します。似た言葉との違いやメリット・デメリットも紹介しますので、コストを抑えて物品を入手したい方はぜひ参考にしてください。
目次
リース契約とは?
リース契約とはどのような契約なのでしょうか。まず、リース契約の内容や契約の対象になるものを解説します。
リース会社から対象物を借りる契約
リース契約とは、リース会社を通じてメーカーから物品を借りる契約です。ユーザーがリース会社と契約を締結することで、リース会社がメーカーから物品の購入契約を結びます。契約後、メーカーからユーザーに直接物品が引き渡される流れです。
リース契約は購入ではなく、リース会社から借りることになるため、費用を押さえて必要な物品を入手できます。毎月リース料金を支払うことで、長期的なリースも可能です。
不動産や機械設備などさまざまなものがリースの対象
リース契約の対象にはさまざまなものがあります。対象例は以下の通りです。
- パソコン
- ルーター
- 金属加工機
- フライス盤
- 測定器
- 分析器
- CT
- MRI
- 冷蔵庫
- 自動車
- フォークリフト
- ソフトウェア
- オフィス用什器
- 不動産
企業で使うパソコンやルーター、イスや机などのオフィス什器のほか、工場に必要な金属加工機やフライス盤もリース契約でレンタルできます。病院で使うCTやMRI、飲食店に必要な冷蔵庫や厨房機器も対象です。
また、不動産もリース契約の対象になっており、オフィス用の物件や住居用の建物を借りられます。不動産も毎月リース料金を支払うことで長期的に借りられるため、費用を押さえてオフィス用物件を借りたいと考える方は、リース契約を検討してみましょう。
リース契約の2つの種類
リース契約には2つの種類があります。それぞれ特徴が異なるため、ここで特徴をわかりやすく解説しましょう。
ファイナンスリース
ファイナンスリースとは、毎月一定のリース料金を支払うことで、リース会社から物品を借りられる種類です。借りる物品の購入代金に利息、固定資産税、保険料などが上乗せされた金額を分割し、毎月のリース料金として支払います。
オペレーティングリース
オペレーティングリースとは、リース期間満了時の残存価値を差し引いたリース料金を毎月支払う種類です。どのような物品も、年月の経過によって劣化し、価値が下がっていきます。リース期間満了時の価値を毎月の支払いから差し引くことで、安く物品を借りることが可能です。
ファイナンスリースよりも低価格で借りられるメリットがある一方で、対象となる物品が少ないデメリットもあります。オペレーティングリースの対象となる半導体の製造装置や工作機械、印刷機械などを借りたい方は、費用を押さえて物品を入手できるでしょう。
リース契約と賃貸借契約の違い
リース会社に一定額を支払うことで物品を借りられるリース契約は、賃貸借契約(=レンタル)と何が違うのでしょうか。
オペレーティングリース契約と賃貸借契約の違い
リースと賃貸借契約(=レンタル)の違いは、対象物の選択肢と借りる期間です。
前述したように、リースはユーザーとの契約締結後に、リース会社がメーカーから物品を購入します。ユーザーが希望したものをリース会社が購入してくれるので、選択肢が幅広いといえるでしょう。
その一方で、レンタルはレンタル会社が所有する物品から借りるものを選ばなければなりません。リースのように希望したものを入手できるわけではないので、場合によってはレンタルそのものを見送る必要があります。
また、リースは長期的な契約が多いことに対し、レンタルは短期から長期まで幅広い点も異なります。数カ月以上借りる場合はリース契約、数日や1カ月程度の短期間のみ借りたい場合はレンタル契約というように、希望にあわせて使い分けることが大切です。
リースとサブスクリプションの違い
リースとサブスクリプションの違いは、解約における自由度です。サブスクと呼ばれるサブスクリプションは、毎月一定額を支払うことで、対象のサービスや製品を借りられるものです。音楽や動画のほか、衣類や車を対象としたサービスも増えています。
生活に身近なものだけでなく、工業用機械やオフィス什器を対象としたサービスもあります。企業向けのサービスも増えているため、レンタルを検討している方はチェックしてみることがおすすめです。
サブスクは解約の自由度が高く、ユーザーが希望した時期にいつでも解約できます。借りる期間を定めていないので、解約時に違約金を請求されることもありません。
リース契約は契約締結時にリース期間を設定するため、期間内に解約した場合は違約金を請求されます。途中解約ができないケースもあるので、借りる期間が明確に定まっているかどうかで使い分けましょう。
リース契約のメリット
会社に必要な物品をリースするか、購入するかで悩んでいる方も多いでしょう。リースと購入にはそれぞれメリットがあるため、比較したうえで慎重に決めることが大切です。ここでは、リース契約で得られるメリットを紹介します。
低コストで物品を入手できる
リース契約の最大のメリットは、低コストで必要な物品を入手できる点です。オフィス用の機械や工業機械など、購入時に高額の費用がかかるものは多くあります。経営が厳しく、購入費用を用意できないときは、リース契約で借りることがおすすめです。
リース契約は毎月一定料金を支払うことで、業務に必要な物品を借りられます。購入に比べて費用が安くなっているため、支出負担を抑えることが可能です。残存価値を差し引いた金額で借りられるオペレーティングリースならより安く借りられるという利点があります。。
リース期間を適切に設定することで最新設備を利用できる
リース期間を耐用年数にあわせて設定することで、期間満了時に最新の設備へと切り替えられます。オフィス用の機械や工業用機械などの製品は、定期的に新しいものが開発されています。リース期間を長く設定していると、旧式のものを使い続けなければならないので、業務に支障が出るかもしれません。
機械別の耐用年数にあわせて期間を設定すれば、期間満了時に新しく開発された機械をリースできます。旧式にはなかった新たな機能を備える機械をレンタルすることで、業務もスムーズになり、企業利益の向上にもつながるでしょう。
毎月の経費を平準化できる
リース契約の場合は、毎月均一のリース料を経費とすることができるため、費用の平準化ができます。
一方で、物品を購入する場合は、購入時に一括で購入代金が必要となります。また経費計上できるのは減価償却分となり、計算方法によっては減価償却費がその年によって変わっていくため、費用を平準化することができません。
リース契約のデメリット
リース契約のデメリットは、途中解約ができない点と、支払総額が購入よりも高くなる点です。リースの契約期間中は、途中解約ができません。期間中に解約すると、違約金が発生するため、物品が必要なくなったときに大きな痛手となります。
また、購入よりも支払い総額が高くなる点にも注意が必要です。リース契約は借りる費用に加え、利息や固定資産税、動産総合保険料なども支払わなければなりません。毎月の費用は安く済むものの、支払総額は高くなるので、購入とリースのどちらが自社にとって得かを見極める必要があります。
リース契約の流れ
リース契約を締結するときは、以下の流れで進みます。
- ユーザーとメーカーの間で借りる物品の種類や価格、納期などを決める
- メーカーがリース会社に見積書を提出する
- メーカーからの見積書をもとに、リース会社が見積書を作成してユーザーに提出する
- リース会社がユーザーを審査する
- ユーザーとリース会社でリース契約を締結する
- リース会社とメーカーが売買契約を締結する
- メーカーがユーザーに物品を納品する
- ユーザーはリース会社に月々のリース料を支払っていく
リース契約の前に、ユーザーとメーカーで借りたい物品について打ち合わせる必要があるので、まずはメーカーに問い合わせましょう。審査通過後、リース会社とメーカーが売買契約を締結し、ユーザーのもとに物品が納品されます。
リース期間満了後は、ユーザーが希望すれば再リースを行うことも可能です。ほかの設備を使う場合は、再度メーカーと打ち合わせましょう。同様の流れで、新たな物品をリースできます。
リースと購入の選び方は?
リースにするべきか、それとも購入にするべきかは、入手したい物品やユーザーの希望によって異なります。
コストを抑えたいときはリース
月々の支払費用を抑えたい、まとまった額を用意することが難しいときはリース契約がおすすめです。リース契約は総支払額が高くなるものの、月々の支出を抑えられるメリットがあります。一度にまとまった金額を用意する必要がないので、予算はないけれど、急ぎで物品を手に入れたいときに最適だといえます。
物品を所有したい場合は購入
物品を所有したいと考える方には購入がおすすめです。リース契約は、期間満了後に原状回復を行ったうえでリース会社に返却しなければなりません。リース開始時とは異なる状態で返却すると、修理費用を別途請求される恐れがあるので、丁重に扱わなければなりません。
購入すれば物品は企業のものとなるため、使用時に細心の注意を払う必要がなくなります。
希望にあわせてリース・購入のどちらかを検討しよう
リース契約とは、リース会社を通じて希望する物品を入手する契約です。メーカーから直接購入するのではなく、リース会社を通じて借りることになるため、所有権はありません。しかし、現時点で大きな予算を用意できなくても、希望する物品を使えるので、初期費用を抑えたい方におすすめです。
リースはメリットが多くある一方で、所有権がない、総支払額が高くなるなどのデメリットもあります。物品によっては購入のほうが適しているため、リースと購入、それぞれのメリット・デメリットを比較したうえで入手方法を検討しましょう。