企業の重要な資産である「ヒト・モノ・カネ・情報」の一つである「ヒト」を管理する労務は、快適な職場環境を整備するうえでも欠かせない存在です。ただ「労務」「労務管理」といっても漠然とし過ぎていて、人事や勤怠管理との違い、具体的な役割などを把握しきれていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、労務の役割や主な業務内容を解説し、企業のなかにおける労務の立ち位置を明確にします。また、必要な法律知識や役に立つ資格についても詳しく解説しますので、労務担当者や人材育成に携わる方はぜひ、参考にしてください。
目次
労務とは
労務とは、企業のなかで従業員が労働を行ううえで欠かせない事務処理や管理業務を行うことを指します。従業員が入社してから退職するまでの給与、労働時間、福利厚生などの管理のほか、労働条件や環境の整備も労務が行う業務です。
労務と人事の違い
企業で「ヒト」を管理する部署は労務だけではありません。その一つが人事です。労務が従業員と企業間の雇用関係や労働条件・環境などの部分に関わる部署なのに対し、人事は業務評価や育成、採用・退職手続きなどを主に行う部署となります。
労務と勤怠管理の違い
従業員の勤務状況の把握や管理を行う勤怠管理も「ヒト」を管理する業務で、労務が行う場合もあれば人事が行う場合もあります。また、企業によっては総務や経理が勤怠管理を行うケースも少なくありません。
労務の主な業務内容
企業規模や職種によるものの、労務が行う業務は多岐に渡ります。ここでは、そのなかでも労務が行う主な業務について見てみましょう。
法定三帳簿作成
従業員の個人情報を管理する「労働者名簿」。従業員ごとの賃金支払い状況をまとめた「賃金台帳」。そして出勤状況の管理を行う「出勤簿」の三帳簿を作成・管理するのは、労務に欠かせない業務です。
人事関連管理
人材の採用に関わるのは人事部の役割ですが、採用した従業員に雇用契約書を作成し、管理するのは労務の役割です。正社員のほかアルバイトやパート、契約・派遣社員など雇用形態によりそれぞれに適した契約書を作成します。
また、退職する際の貸与物の確認や退職金計算、保険手続き、離職票の作成も労務が行う業務です。
勤怠管理
従業員の出退勤、残業時間や休憩時間のほか、有給休暇、休日出勤などの管理を行う業務です。特に2019年以降、時間外労働の上限規制が法制化されたこともあり、厳格な管理が求められます。
給与計算
正社員やパート、契約社員などに支払う給与や賞与を算出する業務です。基本給や諸手当のほか、控除項目の算出、確認なども行います。また、社会保険料や雇用保険料、所得税など各種保険料や税金の算出も労務が行う重要な業務です。
ほか、年に1回、年末調整の手続きも労務が行う業務で、必要書類の手配や確認、自社がある地域への給与支払報告書、税務署への源泉徴収票の提出も行います。
福利厚生
福利厚生とは、給与や賞与以外に企業が従業員に提供するサービスを指します。具体的には、健康保険や厚生年金保険、雇用保険など法律で導入が義務づけられている法定福利厚生、そして法律では提供が義務づけられておらず、会社独自の判断で提供する法定外福利厚生があります。法定福利厚生の管理や法定外福利厚生の選定、維持管理が労務の主な業務です。
社内規程作成・管理
社内規程の作成・管理も労務が行う業務です。従業員が快適な環境で働くには、適切な社内規程が欠かせません。
特に従業員が常時10名以上いる企業では、就業規則の作成と労働基準監督署への提出が労働基準法第八十九条で義務づけられています。就業規則に含めるべき内容についても規定されているため、必ず法律を把握したうえで作成しなければなりません。
第九章 就業規則
(作成及び届出の義務)
第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。
一 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
二 賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
三 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
四 臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項
五 労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項
六 安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項
七 職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項
八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項
九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項
十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項
引用元:労働基準法 | e-Gov法令検索
社会保険関連
従業員が入社した際の社会保険加入手続き、退職する際の解約手続きを行う業務です。具体的には「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「労災保険」「雇用保険」の5つで、「健康・厚生年金・介護」を社会保険。「労災・雇用」を労働保険と呼ぶ場合もあります。
厚生年金保険は年金事務所、雇用保険はハローワークなど、種類により手続きの場所、方法は異なるため、それぞれの法律、詳細の把握が必須です。
安全衛生管理
従業員が安全かつ健康的に働ける職場環境を構築・管理する業務です。具体的には労働安全衛生法第十条により健康診断の実施、安全衛生のための教育、労働災害発生時の原因調査や再発防止対策の設置などが求められます。
(総括安全衛生管理者)
第十条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの
2 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。
3 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。
引用元:労働安全衛生法 | e-Gov法令検索
労使関係管理
労働者(従業員)と使用者(企業)間を取り持つ業務です。労働組合がある場合は、代表者との交渉役を果たします。また、妥結結果を使用者側に伝達したり、双方での合意事項を取りまとめたりなど重要な業務を担っています。
労務トラブル対応
社内で起こるパワハラやセクハラといったトラブルに対応する業務です。また、賃金の未払いや解雇、不当な時間外労働などへの対応も求められます。
労務業務を行ううえで必要となる法律
前項でも触れたように労務の業務を適切に行うにはさまざまな法律の理解が欠かせません。ここではそのなかでも必ず知っておくべき法律について解説します。
職業能力開発促進法
職業能力開発促進法とは、1969年に施行された「職業訓練法」が1985年に改正され、名称も変更になった法律です。主に職業に必要な労働者の能力開発により職業の安定と労働者の地位向上、経済や社会の発展に寄与することを目的としています。
労務担当者としては、職業能力開発促進法を理解し、自社の従業員に対し適切な能力開発の場を提供するために知っておくべき法律です。
(目的)
第一条 この法律は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、職業訓練及び職業能力検定の内容の充実強化及びその実施の円滑化のための施策並びに労働者が自ら職業に関する教育訓練又は職業能力検定を受ける機会を確保するための施策等を総合的かつ計画的に講ずることにより、職業に必要な労働者の能力を開発し、及び向上させることを促進し、もつて、職業の安定と労働者の地位の向上を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。
引用元:職業能力開発促進法 | e-Gov法令検索
労働基準法
労働基準法とは、労働者が労働するうえで基本となる基準を定めた法律です。
労務担当者としては、特に(1)通貨で(2)直接労働者に(3)全額を(4)毎月1回以上(5)一定の期日を定めて支払わなければならないと規定する賃金支払の五原則は知っておいたほうがよいでしょう。
(賃金の支払)
第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
② 賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。
引用元:労働基準法 | e-Gov法令検索
労働安全衛生法
労働安全衛生法とは、労働災害を防止するための危害防止基準の確立や責任体制明確化などにより、労働者が安全と健康を確保し、快適な職場環境を実現させることを目的とした法律です。
具体的には健康診断の定期的な実施や健康保持増進施策の実施、労働者への安全衛生に関する教育などについて定められています。労務担当者としては、健康診断の実施はもちろん、安全管理者や衛生管理者の選任、産業医の選任などをするうえで労働安全衛生法を把握しておかなくてはなりません。
(総括安全衛生管理者)
第十条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、総括安全衛生管理者を選任し、その者に安全管理者、衛生管理者又は第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者の指揮をさせるとともに、次の業務を統括管理させなければならない。
一 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
二 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
三 健康診断の実施その他健康の保持増進のための措置に関すること。
四 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
五 前各号に掲げるもののほか、労働災害を防止するため必要な業務で、厚生労働省令で定めるもの
2 総括安全衛生管理者は、当該事業場においてその事業の実施を統括管理する者をもつて充てなければならない。
3 都道府県労働局長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、総括安全衛生管理者の業務の執行について事業者に勧告することができる。
(安全管理者)
第十一条 事業者は、政令で定める業種及び規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、安全管理者を選任し、その者に前条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち安全に係る技術的事項を管理させなければならない。
2 労働基準監督署長は、労働災害を防止するため必要があると認めるときは、事業者に対し、安全管理者の増員又は解任を命ずることができる。
(衛生管理者)
第十二条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、都道府県労働局長の免許を受けた者その他厚生労働省令で定める資格を有する者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該事業場の業務の区分に応じて、衛生管理者を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除く。)のうち衛生に係る技術的事項を管理させなければならない。
2 前条第二項の規定は、衛生管理者について準用する。
(安全衛生推進者等)
第十二条の二 事業者は、第十一条第一項の事業場及び前条第一項の事業場以外の事業場で、厚生労働省令で定める規模のものごとに、厚生労働省令で定めるところにより、安全衛生推進者(第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生推進者)を選任し、その者に第十条第一項各号の業務(第二十五条の二第二項の規定により技術的事項を管理する者を選任した場合においては、同条第一項各号の措置に該当するものを除くものとし、第十一条第一項の政令で定める業種以外の業種の事業場にあつては、衛生に係る業務に限る。)を担当させなければならない。
(産業医等)
第十三条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、厚生労働省令で定めるところにより、医師のうちから産業医を選任し、その者に労働者の健康管理その他の厚生労働省令で定める事項(以下「労働者の健康管理等」という。)を行わせなければならない。
2 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識について厚生労働省令で定める要件を備えた者でなければならない。
3 産業医は、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識に基づいて、誠実にその職務を行わなければならない。
4 産業医を選任した事業者は、産業医に対し、厚生労働省令で定めるところにより、労働者の労働時間に関する情報その他の産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報として厚生労働省令で定めるものを提供しなければならない。
5 産業医は、労働者の健康を確保するため必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理等について必要な勧告をすることができる。この場合において、事業者は、当該勧告を尊重しなければならない。
6 事業者は、前項の勧告を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該勧告の内容その他の厚生労働省令で定める事項を衛生委員会又は安全衛生委員会に報告しなければならない。
第十三条の二 事業者は、前条第一項の事業場以外の事業場については、労働者の健康管理等を行うのに必要な医学に関する知識を有する医師その他厚生労働省令で定める者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせるように努めなければならない。
2 前条第四項の規定は、前項に規定する者に労働者の健康管理等の全部又は一部を行わせる事業者について準用する。この場合において、同条第四項中「提供しなければ」とあるのは、「提供するように努めなければ」と読み替えるものとする。
第十三条の三 事業者は、産業医又は前条第一項に規定する者による労働者の健康管理等の適切な実施を図るため、産業医又は同項に規定する者が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の必要な措置を講ずるように努めなければならない。
引用元:労働安全衛生法 | e-Gov法令検索
労働者災害補償保険法
労働者災害補償保険法とは、業務中もしくは通勤中に起きた災害に対し、労働者を保護するための保険給付や被災労働者とその家族に対する援護などを定めた法律です。
労務担当者としては労働者災害補償保険法を把握し、業務災害に関する保険給付の種類や給付方法などを理解しておく必要があります。
第十二条の八 第七条第一項第一号の業務災害に関する保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
一 療養補償給付
二 休業補償給付
三 障害補償給付
四 遺族補償給付
五 葬祭料
六 傷病補償年金
七 介護補償給付
② 前項の保険給付(傷病補償年金及び介護補償給付を除く。)は、労働基準法第七十五条から第七十七条まで、第七十九条及び第八十条に規定する災害補償の事由又は船員法(昭和二十二年法律第百号)第八十九条第一項、第九十一条第一項、第九十二条本文、第九十三条及び第九十四条に規定する災害補償の事由(同法第九十一条第一項にあつては、労働基準法第七十六条第一項に規定する災害補償の事由に相当する部分に限る。)が生じた場合に、補償を受けるべき労働者若しくは遺族又は葬祭を行う者に対し、その請求に基づいて行う。
③ 傷病補償年金は、業務上負傷し、又は疾病にかかつた労働者が、当該負傷又は疾病に係る療養の開始後一年六箇月を経過した日において次の各号のいずれにも該当するとき、又は同日後次の各号のいずれにも該当することとなつたときに、その状態が継続している間、当該労働者に対して支給する。
一 当該負傷又は疾病が治つていないこと。
二 当該負傷又は疾病による障害の程度が厚生労働省令で定める傷病等級に該当すること。
④ 介護補償給付は、障害補償年金又は傷病補償年金を受ける権利を有する労働者が、その受ける権利を有する障害補償年金又は傷病補償年金の支給事由となる障害であつて厚生労働省令で定める程度のものにより、常時又は随時介護を要する状態にあり、かつ、常時又は随時介護を受けているときに、当該介護を受けている間(次に掲げる間を除く。)、当該労働者に対し、その請求に基づいて行う。
一 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成十七年法律第百二十三号)第五条第十一項に規定する障害者支援施設(以下「障害者支援施設」という。)に入所している間(同条第七項に規定する生活介護(以下「生活介護」という。)を受けている場合に限る。)
二 障害者支援施設(生活介護を行うものに限る。)に準ずる施設として厚生労働大臣が定めるものに入所している間
三 病院又は診療所に入院している間
引用元:労働者災害補償保険法 | e-Gov法令検索
雇用保険法
雇用保険法は失業や職業訓練、育児休業時の給付を通じ、労働者の生活安定、就職促進、職業安定、能力開発などを目指すことを目的とした法律です。
労務担当者としては、人材採用時に「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出する必要があるため、雇用保険法についても理解しておく必要があります。
育児・介護休業法
育児・介護休業法とは、労働者が育児や介護と仕事を両立させるための支援を目的とした法律です。
労務担当者としては、育児・介護休暇のほか、子の看護休暇や所定外労働・時間外労働・深夜業の制限などについて把握しておく必要があります。
第二章 育児休業
(育児休業の申出)
第五条 労働者は、その養育する一歳に満たない子について、その事業主に申し出ることにより、育児休業(第九条の二第一項に規定する出生時育児休業を除く。以下この条から第九条までにおいて同じ。)をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、その養育する子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約(労働契約が更新される場合にあっては、更新後のもの。第三項、第九条の二第一項及び第十一条第一項において同じ。)が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、労働者は、その養育する子が一歳に達する日(以下「一歳到達日」という。)までの期間(当該子を養育していない期間を除く。)内に二回の育児休業(第七項に規定する育児休業申出によりする育児休業を除く。)をした場合には、当該子については、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、前項の規定による申出をすることができない。
3 労働者は、その養育する一歳から一歳六か月に達するまでの子について、次の各号のいずれにも該当する場合(厚生労働省令で定める特別の事情がある場合には、第二号に該当する場合)に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者(当該子の一歳到達日において育児休業をしている者であって、その翌日を第六項に規定する育児休業開始予定日とする申出をするものを除く。)にあっては、当該子が一歳六か月に達する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる。
一 当該申出に係る子について、当該労働者又はその配偶者が、当該子の一歳到達日において育児休業をしている場合
二 当該子の一歳到達日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合
三 当該子の一歳到達日後の期間において、この項の規定による申出により育児休業をしたことがない場合
4 労働者は、その養育する一歳六か月から二歳に達するまでの子について、次の各号のいずれにも該当する場合(前項の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合には、第二号に該当する場合)に限り、その事業主に申し出ることにより、育児休業をすることができる。
一 当該申出に係る子について、当該労働者又はその配偶者が、当該子の一歳六か月に達する日(以下「一歳六か月到達日」という。)において育児休業をしている場合
二 当該子の一歳六か月到達日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当する場合
三 当該子の一歳六か月到達日後の期間において、この項の規定による申出により育児休業をしたことがない場合
5 第一項ただし書の規定は、前項の規定による申出について準用する。この場合において、第一項ただし書中「一歳六か月」とあるのは、「二歳」と読み替えるものとする。
6 第一項、第三項及び第四項の規定による申出(以下「育児休業申出」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は育児休業をすることとする一の期間について、その初日(以下「育児休業開始予定日」という。)及び末日(以下「育児休業終了予定日」という。)とする日を明らかにして、しなければならない。この場合において、次の各号に掲げる申出にあっては、第三項の厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、当該各号に定める日を育児休業開始予定日としなければならない。
一 第三項の規定による申出 当該申出に係る子の一歳到達日の翌日(当該申出をする労働者の配偶者が同項の規定による申出により育児休業をする場合には、当該育児休業に係る育児休業終了予定日の翌日以前の日)
二 第四項の規定による申出 当該申出に係る子の一歳六か月到達日の翌日(当該申出をする労働者の配偶者が同項の規定による申出により育児休業をする場合には、当該育児休業に係る育児休業終了予定日の翌日以前の日)
7 第一項ただし書、第二項、第三項(第一号及び第二号を除く。)、第四項(第一号及び第二号を除く。)、第五項及び前項後段の規定は、期間を定めて雇用される者であって、その締結する労働契約の期間の末日を育児休業終了予定日(第七条第三項の規定により当該育児休業終了予定日が変更された場合にあっては、その変更後の育児休業終了予定日とされた日)とする育児休業をしているものが、当該育児休業に係る子について、当該労働契約の更新に伴い、当該更新後の労働契約の期間の初日を育児休業開始予定日とする育児休業申出をする場合には、これを適用しない。
(育児休業申出があった場合における事業主の義務等)
第六条 事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない。ただし、当該事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる労働者のうち育児休業をすることができないものとして定められた労働者に該当する労働者からの育児休業申出があった場合は、この限りでない。
一 当該事業主に引き続き雇用された期間が一年に満たない労働者
二 前号に掲げるもののほか、育児休業をすることができないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として厚生労働省令で定めるもの
2 前項ただし書の場合において、事業主にその育児休業申出を拒まれた労働者は、前条第一項、第三項及び第四項の規定にかかわらず、育児休業をすることができない。
3 事業主は、労働者からの育児休業申出があった場合において、当該育児休業申出に係る育児休業開始予定日とされた日が当該育児休業申出があった日の翌日から起算して一月(前条第三項の規定による申出(当該申出があった日が当該申出に係る子の一歳到達日以前の日であるものに限る。)又は同条第四項の規定による申出(当該申出があった日が当該申出に係る子の一歳六か月到達日以前の日であるものに限る。)にあっては二週間)を経過する日(以下この項において「一月等経過日」という。)前の日であるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該育児休業開始予定日とされた日から当該一月等経過日(当該育児休業申出があった日までに、出産予定日前に子が出生したことその他の厚生労働省令で定める事由が生じた場合にあっては、当該一月等経過日前の日で厚生労働省令で定める日)までの間のいずれかの日を当該育児休業開始予定日として指定することができる。
4 第一項ただし書及び前項の規定は、労働者が前条第七項に規定する育児休業申出をする場合には、これを適用しない。
(育児休業開始予定日の変更の申出等)
第七条 第五条第一項の規定による申出をした労働者は、その後当該申出に係る育児休業開始予定日とされた日(前条第三項の規定による事業主の指定があった場合にあっては、当該事業主の指定した日。以下この項において同じ。)の前日までに、前条第三項の厚生労働省令で定める事由が生じた場合には、その事業主に申し出ることにより、当該申出に係る育児休業開始予定日を一回に限り当該育児休業開始予定日とされた日前の日に変更することができる。
2 事業主は、前項の規定による労働者からの申出があった場合において、当該申出に係る変更後の育児休業開始予定日とされた日が当該申出があった日の翌日から起算して一月を超えない範囲内で厚生労働省令で定める期間を経過する日(以下この項において「期間経過日」という。)前の日であるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該申出に係る変更後の育児休業開始予定日とされた日から当該期間経過日(その日が当該申出に係る変更前の育児休業開始予定日とされていた日(前条第三項の規定による事業主の指定があった場合にあっては、当該事業主の指定した日。以下この項において同じ。)以後の日である場合にあっては、当該申出に係る変更前の育児休業開始予定日とされていた日)までの間のいずれかの日を当該労働者に係る育児休業開始予定日として指定することができる。
3 育児休業申出をした労働者は、厚生労働省令で定める日までにその事業主に申し出ることにより、当該育児休業申出に係る育児休業終了予定日を一回に限り当該育児休業終了予定日とされた日後の日に変更することができる。
(育児休業申出の撤回等)
第八条 育児休業申出をした労働者は、当該育児休業申出に係る育児休業開始予定日とされた日(第六条第三項又は前条第二項の規定による事業主の指定があった場合にあっては当該事業主の指定した日、同条第一項の規定により育児休業開始予定日が変更された場合にあってはその変更後の育児休業開始予定日とされた日。以下同じ。)の前日までは、当該育児休業申出を撤回することができる。
2 前項の規定により第五条第一項の規定による申出を撤回した労働者は、同条第二項の規定の適用については、当該申出に係る育児休業をしたものとみなす。
3 第一項の規定により第五条第三項又は第四項の規定による申出を撤回した労働者は、当該申出に係る子については、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合を除き、同条第三項及び第四項の規定にかかわらず、これらの規定による申出をすることができない。
4 育児休業申出がされた後育児休業開始予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が当該育児休業申出に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたときは、当該育児休業申出は、されなかったものとみなす。この場合において、労働者は、その事業主に対して、当該事由が生じた旨を遅滞なく通知しなければならない。
(育児休業期間)
第九条 育児休業申出をした労働者がその期間中は育児休業をすることができる期間(以下「育児休業期間」という。)は、育児休業開始予定日とされた日から育児休業終了予定日とされた日(第七条第三項の規定により当該育児休業終了予定日が変更された場合にあっては、その変更後の育児休業終了予定日とされた日。次項において同じ。)までの間とする。
2 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、育児休業期間は、前項の規定にかかわらず、当該事情が生じた日(第三号に掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する。
一 育児休業終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が育児休業申出に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。
二 育児休業終了予定日とされた日の前日までに、育児休業申出に係る子が一歳(第五条第三項の規定による申出により育児休業をしている場合にあっては一歳六か月、同条第四項の規定による申出により育児休業をしている場合にあっては二歳)に達したこと。
三 育児休業終了予定日とされた日までに、育児休業申出をした労働者について、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項若しくは第二項の規定により休業する期間、第九条の五第一項に規定する出生時育児休業期間、第十五条第一項に規定する介護休業期間又は新たな育児休業期間が始まったこと。
3 前条第四項後段の規定は、前項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。
(出生時育児休業の申出)
第九条の二 労働者は、その養育する子について、その事業主に申し出ることにより、出生時育児休業(育児休業のうち、この条から第九条の五までに定めるところにより、子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日まで(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては当該出生の日から当該出産予定日から起算して八週間を経過する日の翌日までとし、出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては当該出産予定日から当該出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日までとする。次項第一号において同じ。)の期間内に四週間以内の期間を定めてする休業をいう。以下同じ。)をすることができる。ただし、期間を定めて雇用される者にあっては、その養育する子の出生の日(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては、当該出産予定日)から起算して八週間を経過する日の翌日から六月を経過する日までに、その労働契約が満了することが明らかでない者に限り、当該申出をすることができる。
2 前項の規定にかかわらず、労働者は、その養育する子について次の各号のいずれかに該当する場合には、当該子については、同項の規定による申出をすることができない。
一 当該子の出生の日から起算して八週間を経過する日の翌日までの期間(当該子を養育していない期間を除く。)内に二回の出生時育児休業(第四項に規定する出生時育児休業申出によりする出生時育児休業を除く。)をした場合
二 当該子の出生の日(出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては、当該出産予定日)以後に出生時育児休業をする日数(出生時育児休業を開始する日から出生時育児休業を終了する日までの日数とする。第九条の五第六項第三号において同じ。)が二十八日に達している場合
3 第一項の規定による申出(以下「出生時育児休業申出」という。)は、厚生労働省令で定めるところにより、その期間中は出生時育児休業をすることとする一の期間について、その初日(以下「出生時育児休業開始予定日」という。)及び末日(以下「出生時育児休業終了予定日」という。)とする日を明らかにして、しなければならない。
4 第一項ただし書及び第二項(第二号を除く。)の規定は、期間を定めて雇用される者であって、その締結する労働契約の期間の末日を出生時育児休業終了予定日(第九条の四において準用する第七条第三項の規定により当該出生時育児休業終了予定日が変更された場合にあっては、その変更後の出生時育児休業終了予定日とされた日)とする出生時育児休業をしているものが、当該出生時育児休業に係る子について、当該労働契約の更新に伴い、当該更新後の労働契約の期間の初日を出生時育児休業開始予定日とする出生時育児休業申出をする場合には、これを適用しない。
(出生時育児休業申出があった場合における事業主の義務等)
第九条の三 事業主は、労働者からの出生時育児休業申出があったときは、当該出生時育児休業申出を拒むことができない。ただし、労働者からその養育する子について出生時育児休業申出がなされた後に、当該労働者から当該出生時育児休業申出をした日に養育していた子について新たに出生時育児休業申出がなされた場合は、この限りでない。
2 第六条第一項ただし書及び第二項の規定は、労働者からの出生時育児休業申出があった場合について準用する。この場合において、同項中「前項ただし書」とあるのは「第九条の三第一項ただし書及び同条第二項において準用する前項ただし書」と、「前条第一項、第三項及び第四項」とあるのは「第九条の二第一項」と読み替えるものとする。
3 事業主は、労働者からの出生時育児休業申出があった場合において、当該出生時育児休業申出に係る出生時育児休業開始予定日とされた日が当該出生時育児休業申出があった日の翌日から起算して二週間を経過する日(以下この項において「二週間経過日」という。)前の日であるときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該出生時育児休業開始予定日とされた日から当該二週間経過日(当該出生時育児休業申出があった日までに、第六条第三項の厚生労働省令で定める事由が生じた場合にあっては、当該二週間経過日前の日で厚生労働省令で定める日)までの間のいずれかの日を当該出生時育児休業開始予定日として指定することができる。
4 事業主と労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、次に掲げる事項を定めた場合における前項の規定の適用については、同項中「二週間を経過する日(以下この項において「二週間経過日」という。)」とあるのは「次項第二号に掲げる期間を経過する日」と、「当該二週間経過日」とあるのは「同号に掲げる期間を経過する日」とする。
一 出生時育児休業申出が円滑に行われるようにするための雇用環境の整備その他の厚生労働省令で定める措置の内容
二 事業主が出生時育児休業申出に係る出生時育児休業開始予定日を指定することができる出生時育児休業申出があった日の翌日から出生時育児休業開始予定日とされた日までの期間(二週間を超え一月以内の期間に限る。)
5 第一項ただし書及び前三項の規定は、労働者が前条第四項に規定する出生時育児休業申出をする場合には、これを適用しない。
(準用)
第九条の四 第七条並びに第八条第一項、第二項及び第四項の規定は、出生時育児休業申出並びに出生時育児休業開始予定日及び出生時育児休業終了予定日について準用する。この場合において、第七条第一項中「(前条第三項」とあるのは「(第九条の三第三項(同条第四項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」と、同条第二項中「一月」とあるのは「二週間」と、「前条第三項」とあるのは「第九条の三第三項(同条第四項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」と、第八条第一項中「第六条第三項又は前条第二項」とあるのは「第九条の三第三項(同条第四項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第九条の四において準用する前条第二項」と、「同条第一項」とあるのは「第九条の四において準用する前条第一項」と、同条第二項中「同条第二項」とあるのは「第九条の二第二項」と読み替えるものとする。
(出生時育児休業期間等)
第九条の五 出生時育児休業申出をした労働者がその期間中は出生時育児休業をすることができる期間(以下「出生時育児休業期間」という。)は、出生時育児休業開始予定日とされた日(第九条の三第三項(同条第四項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は前条において準用する第七条第二項の規定による事業主の指定があった場合にあっては当該事業主の指定した日、前条において準用する第七条第一項の規定により出生時育児休業開始予定日が変更された場合にあってはその変更後の出生時育児休業開始予定日とされた日。以下この条において同じ。)から出生時育児休業終了予定日とされた日(前条において準用する第七条第三項の規定により当該出生時育児休業終了予定日が変更された場合にあっては、その変更後の出生時育児休業終了予定日とされた日。第六項において同じ。)までの間とする。
2 出生時育児休業申出をした労働者(事業主と当該労働者が雇用される事業所の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、その事業所の労働者の過半数で組織する労働組合がないときはその労働者の過半数を代表する者との書面による協定で、出生時育児休業期間中に就業させることができるものとして定められた労働者に該当するものに限る。)は、当該出生時育児休業申出に係る出生時育児休業開始予定日とされた日の前日までの間、事業主に対し、当該出生時育児休業申出に係る出生時育児休業期間において就業することができる日その他の厚生労働省令で定める事項(以下この条において「就業可能日等」という。)を申し出ることができる。
3 前項の規定による申出をした労働者は、当該申出に係る出生時育児休業開始予定日とされた日の前日までは、その事業主に申し出ることにより当該申出に係る就業可能日等を変更し、又は当該申出を撤回することができる。
4 事業主は、労働者から第二項の規定による申出(前項の規定による変更の申出を含む。)があった場合には、当該申出に係る就業可能日等(前項の規定により就業可能日等が変更された場合にあっては、その変更後の就業可能日等)の範囲内で日時を提示し、厚生労働省令で定めるところにより、当該申出に係る出生時育児休業開始予定日とされた日の前日までに当該労働者の同意を得た場合に限り、厚生労働省令で定める範囲内で、当該労働者を当該日時に就業させることができる。
5 前項の同意をした労働者は、当該同意の全部又は一部を撤回することができる。ただし、第二項の規定による申出に係る出生時育児休業開始予定日とされた日以後においては、厚生労働省令で定める特別の事情がある場合に限る。
6 次の各号に掲げるいずれかの事情が生じた場合には、出生時育児休業期間は、第一項の規定にかかわらず、当該事情が生じた日(第四号に掲げる事情が生じた場合にあっては、その前日)に終了する。
一 出生時育児休業終了予定日とされた日の前日までに、子の死亡その他の労働者が出生時育児休業申出に係る子を養育しないこととなった事由として厚生労働省令で定める事由が生じたこと。
二 出生時育児休業終了予定日とされた日の前日までに、出生時育児休業申出に係る子の出生の日の翌日(出産予定日前に当該子が出生した場合にあっては、当該出産予定日の翌日)から起算して八週間を経過したこと。
三 出生時育児休業終了予定日とされた日の前日までに、出生時育児休業申出に係る子の出生の日(出産予定日後に当該子が出生した場合にあっては、当該出産予定日)以後に出生時育児休業をする日数が二十八日に達したこと。
四 出生時育児休業終了予定日とされた日までに、出生時育児休業申出をした労働者について、労働基準法第六十五条第一項若しくは第二項の規定により休業する期間、育児休業期間、第十五条第一項に規定する介護休業期間又は新たな出生時育児休業期間が始まったこと。
7 第八条第四項後段の規定は、前項第一号の厚生労働省令で定める事由が生じた場合について準用する。
(同一の子について配偶者が育児休業をする場合の特例)
第九条の六 労働者の養育する子について、当該労働者の配偶者が当該子の一歳到達日以前のいずれかの日において当該子を養育するために育児休業をしている場合における第二章から第五章まで、第二十四条第一項及び第十二章の規定の適用については、第五条第一項中「一歳に満たない子」とあるのは「一歳に満たない子(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用するこの項の規定により育児休業をする場合にあっては、一歳二か月に満たない子)」と、同条第三項ただし書中「一歳到達日」とあるのは「一歳到達日(当該労働者が第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する第一項の規定によりした申出に係る第九条第一項(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する育児休業終了予定日とされた日が当該子の一歳到達日後である場合にあっては、当該育児休業終了予定日とされた日)」と、同項第一号中「又はその配偶者が、当該子の一歳到達日」とあるのは「が当該子の一歳到達日(当該労働者が第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する第一項の規定によりした申出に係る第九条第一項(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する育児休業終了予定日とされた日が当該子の一歳到達日後である場合にあっては、当該育児休業終了予定日とされた日)において育児休業をしている場合又は当該労働者の配偶者が当該子の一歳到達日(当該配偶者が第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する第一項の規定によりした申出に係る第九条第一項(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する育児休業終了予定日とされた日が当該子の一歳到達日後である場合にあっては、当該育児休業終了予定日とされた日)」と、同項第三号中「一歳到達日」とあるのは「一歳到達日(当該子を養育する労働者が第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する第一項の規定によりした申出に係る第九条第一項(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する育児休業終了予定日とされた日が当該子の一歳到達日後である場合にあっては、当該育児休業終了予定日とされた日)」と、同条第六項第一号中「一歳到達日」とあるのは「一歳到達日(当該子を養育する労働者又はその配偶者が第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する第一項の規定によりした申出に係る第九条第一項(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に規定する育児休業終了予定日とされた日が当該子の一歳到達日後である場合にあっては、当該育児休業終了予定日とされた日(当該労働者に係る育児休業終了予定日とされた日と当該配偶者に係る育児休業終了予定日とされた日が異なるときは、そのいずれかの日)。次条第三項において同じ。)」と、第九条第一項中「変更後の育児休業終了予定日とされた日。次項」とあるのは「変更後の育児休業終了予定日とされた日。次項(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)において同じ。)(当該育児休業終了予定日とされた日が当該育児休業開始予定日とされた日から起算して育児休業等可能日数(当該育児休業に係る子の出生した日から当該子の一歳到達日までの日数をいう。)から育児休業等取得日数(当該子の出生した日以後当該労働者が労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第六十五条第一項又は第二項の規定により休業した日数と当該子について育児休業及び次条第一項に規定する出生時育児休業をした日数を合算した日数をいう。)を差し引いた日数を経過する日より後の日であるときは、当該経過する日。次項(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」と、同条第二項第二号中「第五条第三項」とあるのは「第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する第五条第一項の規定による申出により育児休業をしている場合にあっては一歳二か月、同条第三項(第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」と、「同条第四項」とあるのは「第五条第四項」と、第二十四条第一項第一号中「一歳(」とあるのは「一歳(当該労働者が第九条の六第一項の規定により読み替えて適用する第五条第一項の規定による申出をすることができる場合にあっては一歳二か月、」とするほか、必要な技術的読替えは、厚生労働省令で定める。
2 前項の規定は、同項の規定を適用した場合の第五条第一項の規定による申出に係る育児休業開始予定日とされた日が、当該育児休業に係る子の一歳到達日の翌日後である場合又は前項の場合における当該労働者の配偶者がしている育児休業に係る育児休業期間の初日前である場合には、これを適用しない。
(公務員である配偶者がする育児休業に関する規定の適用)
第九条の七 第五条第三項、第四項及び第六項並びに前条の規定の適用については、労働者の配偶者が国会職員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百八号)第三条第二項、国家公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百九号)第三条第二項(同法第二十七条第一項及び裁判所職員臨時措置法(昭和二十六年法律第二百九十九号)(第七号に係る部分に限る。)において準用する場合を含む。)、地方公務員の育児休業等に関する法律(平成三年法律第百十号)第二条第二項又は裁判官の育児休業に関する法律(平成三年法律第百十一号)第二条第二項の規定によりする請求及び当該請求に係る育児休業は、それぞれ第五条第一項、第三項又は第四項の規定によりする申出及び当該申出によりする育児休業とみなす。
引用元:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律 | e-Gov法令検索
労務業務を適切に行うために役に立つ資格
多岐にわたる業務内容や把握すべき法律の多さから、労務を適切に行うにはさまざまな知識や経験が求められます。そこで、ここでは労務業務を適切に行うために役に立つ資格について見てみましょう。
ビジネスキャリア検定
ビジネスキャリア検定とは、労務管理はもちろん、人事や人材開発など「ヒト」の管理に関するものから経理、営業、マーケティングなど幅広い業務に関する検定です。
労務管理の試験内容は、労使関係や就業管理、安全衛生、福利厚生などで1級から3級まで用意されています。
社会保険労務士
社会保険労務士は労務管理や社会保険に関する法律に基づいたアドバイスができる国家資格です。また、関連書類の作成や代行もできるため、将来的に独立を考えている場合にも有用な資格といえます。
労務管理や社会保険のほかにも年金、雇用契約など労務が関わる幅広い知識が求められる資格のため、労務を担当するうえで取得しておきたい資格といえるでしょう。
労務管理士
労務管理士とは、法令遵守を前提に労働基準法や労務管理の知識を用い、採用から退職までの就業管理を行うための専門資格です。
従業員の雇用や契約、給与計算、評価制度などの知識向上を目指す際には取得の検討をおすすめします。
経営労務コンサルタント
経営労務コンサルタントとは、人事も含めた労務分野を専門分野としてコンサルタント業務を行ううえで必要な知識や技術を得るための資格です。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントとは、従業員のキャリアに関する相談対応やアドバイスを行うために欠かせない国家資格の一つです。
労務担当者としては、従業員からキャリアアップの相談を受けた際、社内評価を高めるうえでも適切なアドバイスが求められます。キャリアコンサルタントの資格があれば、有益なアドバイスも可能になるため、取っておきたい資格の一つです。
給与計算実務能力検定
給与計算実務能力検定とは、給与計算業務に係る知識や実務を測定し、適切な給与計算の実現を目指すことを目的とした検定試験です。社会保険料や所得税の計算を間違いなく行い、遅滞なく従業員に賃金支払いを行ううえで重要な資格といえるでしょう。
衛生管理者
衛生管理者とは、労働者の健康障害防止を目的としたもので、労働者に対する衛生教育や健康診断の実施などに関する管理を行うための国家資格です。
常時50人以上の労働者を使用する事業者は、その事業場専属の衛生管理者を選任する必要があります。そのため、企業規模によっては必ず一人は専任の衛生管理者が必要です。
メンタルヘルス・マネジメント検定
メンタルヘルス・マネジメント検定は、従業員が心身ともに健康な状態で働けるようにするため、特に心のケアをするための知識が求められる資格です。
資格はI種、II種、III種の3つで労務担当者は社内メンタルヘルス対策の推進を目的としたI種が対象になります。
「労務」はすべての従業員が快適に働ける環境を構築するスペシャリスト
労務とは、企業のなかで従業員が労働を行ううえで欠かせない事務処理や管理業務を行う役割を指します。
従業員の安全衛生管理や雇用・退職時の手続き、給与計算などどれも直接的に会社に利益をもたらす業務ではありません。しかし、労務がしっかりと役割を果たさなければ全ての従業員が安心して働くことはできないため、非常に重要な業務だとえいます。
適切に労務の業務を行うには、さまざまな法律の知識や経験が欠かせません。さらに常に社内のあらゆる状況を把握し、目を配らせる配慮が求められる業務です。そのため、人とのコミュニケーションが好きで労働環境の整備に強い興味を持つ方におすすめの業務といえるでしょう。