近年、電子文書に関連する法令は頻繁に改正されています。それに伴って、電子印鑑が活用される機会も増えてきています。今後の電子印鑑の導入について検討をしている会社も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、社印を電子化する際のメリット、また電子化する際にどのようなことに注意すればいいのかをお伝えします。
目次
社印?社判?まずは企業が保有する印鑑についておさらい
個人の印鑑と同様、企業も実印から銀行印、認印などさまざまな種類の印鑑を使い分けています。まずは、その名称と役割について整理してみましょう。
会社が所有する印鑑全般のことを社判と言います。
社判(法人印)にはさまざまな種類がある
社判には、次のような種類があります。
会社実印(丸印・代表者印・法人実印)
会社設立や法人登記の際に使用する、会社で最も重要な印鑑です。登録には法務局への届け出が必要です。個人にとっての実印と同様、会社実印は企業にとって重要な局面でのみ使用されます。印面は丸く、会社名と代表者名が彫られています。
銀行印
法人名義の口座を開設する際に銀行で登録する印鑑です。会社実印と同じく丸型で、会社名とともに「銀行印」の文字が彫られています。
社印(会社認印・角印)
社内文書や領収書、請求書、見積書、郵便物の受け取りなど、会社が使用するさまざまな文書に対して日常的に使われる印鑑です。四角い印面に会社名が彫られています。
社印の電子印鑑を作成する方法
これまで紙に押印していた印鑑を、電子データ上で再現したもののことを電子印鑑と呼んでいます。
電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用することを規定した電子署名法が2001年4月1日に施行されて以降、社判は実物の印鑑である必要はなくなりました。現在では電子印鑑としての社判を持っている企業も多くなっています。
実物の会社実印が必須の契約手続きもあるため、すべての押印を電子印鑑に置き換えられるわけではありませんが、社判のうち、日常的に使う社印(会社認印)は、電子印鑑に置き換えることが簡単に可能です。また、電子印鑑に置き換えることで利便性も上がります。
そこで、社印(会社認印)としての電子印鑑を作成する代表的な方法を以下でご紹介します。
電子印鑑を作成する方法は、手軽なものから、セキュリティ性が高く信頼性の高い印鑑を作成するものまで複数あります。
フリーソフトを使用して電子版の社印(会社認印)を作成する
フリーソフトには、無料で電子印鑑を作成できるものがいくつもあります。それらを使用して、電子版の社印(会社認印)を作成するのです。簡単に綺麗な印影の電子印鑑を作成しやすいというメリットはありますが、他社でもまったく同じ印影を作成できてしまうというデメリットもあります。
印影をスキャンして電子版の社印(会社認印)を作成する
実物の社印を紙に押印し、それをスキャナで読み込んで画像データにします。この画像データを、「Microsoft Word」「Microsoft Excel」などの電子ファイルに貼り付けたり、「Adobe Acrobat Reader」を使用してPDFファイル化したりすることで、電子印鑑を作成することができます。ただし、これらで作成した電子印鑑は単純な画像ファイルですから、コピー&ペーストをすれば誰でも簡単に複製できてしまうというデメリットもあります。
電子契約サービスの電子印鑑を利用する
「電子印鑑GMOサイン」のような電子契約サービスを利用して、電子印鑑を作成する方法もあります。電子契約サービスを利用すれば、誰にも複製されることがないタイムスタンプが付与されたセキュリティ性の高い電子印鑑を作成することができます。
社印(会社認印)を電子印鑑にするメリット
社印(会社認印)を電子印鑑にすることで、さまざまなメリットが生まれます。
テレワークやリモートワークが導入しやすくなる
領収書や請求書、見積書などへの決済印や承認印を社印(会社認印)で押印する際、電子印鑑に変えることで、押印業務をオンライン上で完結できるようになります。そうすることで、オフィスに出社せずとも仕事ができるようになり、リモートワークが導入しやすくなります。
また、従業員同士が物理的に離れた場所で働いている場合でも社印(会社認印)の押印が可能になります。たとえば、出張中の同僚や多忙を極める上司に対しても押印を依頼できるようになります。
業務効率が高まる
実物の印鑑の押印が必要な場合、一度文書ファイルをプリントアウトして、その用紙に押印するという運用をする必要があります。しかし、社印(会社認印)を電子印鑑にすることで、文書ファイルのデータそのものに押印ができるようになります。
このように、社印(会社認印)を電子印鑑にすることですべての作業を一貫して電子化できるようになり業務効率が高まります。また、用紙代や印刷のためのインク代などが必要なくなり、コストも削減できるようになります。
そのほか、押印権限者が複数いるような場合、実物の印鑑の押印が必要であれば、その権限者たちに書面を持っていって対応をしてもらうことによるタイムロスも生じます。電子印鑑にすることで、そのようなロスを削減できるわけです。
自社のDX化が進行する
近年の企業では、単にアナログからデジタルへ置き換えるだけではなく、デジタル技術によって業務や組織を変革し、新たな利益を生み出していくDX化の考え方が進行しています。「脱ハンコ」はデジタル化の第一歩であり、社印(会社認印)を電子印鑑に変えることが自社のDX化にもつながります。
社印(会社認印)を電子印鑑にするときの注意点
会社に電子印鑑を導入することで、さまざまなメリットが発生します。その一方、社印(会社認印)を電子印鑑にするときの注意点もいくつかあります。
電子印鑑が利用できない手続きや契約がある
今ではさまざまな書類上で電子印鑑を押印することが法的にも認められていますが、法令で実印の使用を求められるような手続きや契約においては、いまだ電子印鑑で代用できないものもあります。
たとえば、事業用借地権設定契約書は公正証書による設定契約が必要であるため、会社実印や印鑑証明書が必要になります。
書面の電子保存が認められない書類がある
電子帳簿保存法では、一定の要件に従えば国税に関する書類の電子保存を認めています。
しかしその中で、決算関係書類(棚卸表、貸借対照表、損益計算書等)は、紙で保存しておく必要があり、電子的に保存しても認められないため、電子印鑑は押印できません。
電子印鑑には複製されるリスクがある
印影のスキャンやフリーソフトを利用しての電子印鑑は簡単に作成できるぶん、複製することも簡単です。コピー&ペーストで印影を複製することで、権限を持ってない者でも押印できてしまうために、書類の押印先である取引先などに迷惑をかけてしまう可能性もあります。
ただこのようなリスクは、本人性が担保されている電子証明書が付与されており、記録された時刻以降にその文書が改ざんされていない非改ざん証明を証明するタイムスタンプも付与されている電子契約サービスを利用することで避けることが可能です。
社印(会社認印)を電子印鑑で作るのであれば電子契約サービスを利用しよう
電子印鑑の社印(会社認印)を作ろうと考えているのであれば、本記事で紹介している電子印鑑によるメリットと同時に、運用上の注意点も理解するようにしましょう。
電子契約サービスを導入する際に確認したいこと
電子契約サービスの導入をする際には、以下の点を比較検討するようにしましょう。
・電子証明書で本人性が担保できるか
・「存在証明」と「非改ざん証明」ができるタイムスタンプが付与されるか
・通信経路は暗号化されているか
・オプション機能が充実しているか
・外部サービスと連携できるか
電子契約サービスを選択する最大の基準は、セキュリティ性が高いことです。電子署名やタイムスタンプによる識別データなどのセキュリティ性が担保されているのであれば、安心して管理を任せられます。
電子印鑑で社印(会社認印)を作るのであれば「電子印鑑GMOサイン」を選択
電子印鑑は社内業務だけでなく、他社との契約締結などの重要なビジネスの局面でも活用できますので、よりセキュアに電子印鑑を作成できる電子契約サービスを利用することがおすすめです。
電子契約サービスである「電子印鑑GMOサイン」であれば、電子証明書やタイムスタンプなどが付与されており、安心・安全に運用できる機能が備わっています。電子印鑑GMOサインを導入することで、さらなる業務効率の向上やDX化の進行など、電子印鑑によるメリットを享受できるようになるでしょう。