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電子契約書とは?作り方と作成時の注意点を徹底解説!利用時に気を付けるべきことも紹介

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2023年3月16日、JIPDEC(一般財団法人日本情報経済社会推進協会)ITR(株式会社アイ・ティ・アール)が発表した「企業IT利活用動向調査2023」によると、電子契約を利用する企業は、69.7%(2021年)から73.9%(2022年)に拡大しています。

とはいえ、これから導入しようと検討している企業にとって、電子契約は本当にメリットがあるのか、簡単に導入できるのかといった不安は大きいのではないでしょうか。

そこで今回は、電子契約を行ううえで、欠かせない電子契約書の概要作り方電子契約を導入する際に知っておくべきこと、注意点をお伝えします。

目次

電子契約書とは?

電子契約書とは、パソコンやタブレット端末などを使って作成した電子データの契約書です。

電子契約は紙を使わないため、電子契約書ではなく電子契約が正確な名称ですが、今回は主に作成方法について言及するため、あえて電子契約書と記載します。

紙で作成した文書の場合、印鑑または印影を押印し、契約を行っていました。しかし、電子契約書では印鑑、印影の代わりに電子署名をすることで、紙の契約書と同等の効力を持たせられるようになりました。

電子契約書、紙の契約書ともにパソコンで作成するケースがほとんどでしょう。異なるのは、紙の契約書は作成後、印刷して紙でとして保存するのに対し、電子契約書は印刷をせず、すべてを電子データのままでやり取りする点です。

電子契約書は印刷の手間が必要ありませんし、契約書を折りたたんで封筒に詰め、郵送または取引先に持参するといった工程も削減されます。さらに課税文書である紙の契約書とは違い、電子契約書は非課税ですから、印紙を貼る必要もありません。人件費軽減とコスト削減が可能となるのです。

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電子契約書の作り方

電子契約書の作り方としては、自身で作成する方法と、電子契約サービスを利用する方法の2つがあります。ここではそれぞれの方法で電子契約書を作成する方法を紹介します。

自身で作成する方法

電子契約書を自身で作成する方法は、現在、パソコンを使って契約書を作成している方法と変わりません。WordやExcelなどOfficeソフトにある契約書のテンプレートを使って作成します。

テンプレートを使わずに、自作しても問題ありません。

作成後はPDFに変換し、電子署名とタイムスタンプを付与すれば、電子契約書の完成です。Adobe Acrobatを使い、そのままPDFファイルを作成すれば、より効率的に電子契約書を作成できます。

電子契約サービスを利用する方法

電子契約サービスとは、インターネット上で契約書を作成・保存できるサービスです。

多くのサービスで電子署名やタイムスタンプなどの手続き、相手方への契約書送信をすべてインターネット上で完結できます。

無料で利用できるものもあれば、有料のものもあります。機能もさまざまです。サービスの多くは、自身で作成するのに比べて作成や管理が効率的に行えるうえ、セキュリティ対策も十分に施されています

こうした理由で電子契約を行う場合は、電子契約サービスを利用するのが一般的です。

電子契約書の作り方で知っておくべきこと

電子契約書を作成する際には、事前に知っておくべきことが何点かあります。なかでも特に重要なポイントは、以下のとおりです。

電子署名の概要と方法

電子署名は作成した契約書が原本で、誰が何を契約したかを証明するもので、電子証明書を用いて行う署名です。自社と取引先で電子契約を行う際、信頼のおける第三者機関である認証局(CA)に本人認証と審査を経て発行された電子証明書に電子署名を行うことで、契約書の本人性が担保されます。

電子署名を行う場合、立会人型と当事者型の2種類のどちらかで行いますが、それぞれの型により契約の流れは異なります。具体的には次のとおりです。

立会人型

立会人型とは、契約を行う当事者の指示にもとづき、第三者である電子契約サービスが電子署名を付与する方法です。

一般的にはランダムに作成されたURLをメールに記載したものを送付し、クリックすることで本人確認を行うメール認証で電子署名が付与されます。電子契約締結の間にサービス提供者が立ち「契約締結に立ち会い、見守る」のが立会人型です。

立会人型を利用するメリットは、相手方が電子契約サービスに登録していなくても電子署名が可能な点です。取引を行う相手に負担をかけずに電子契約を行いたい場合に便利な方法となります。

当事者型

当事者型とは、自社と取引を行う相手方双方が電子証明書を用いて電子署名を付与する方法です。

認証局にパスポートや免許証など身分を証明できるものを認証局に提出し、電子証明書が格納された電子ファイルの発行をしてもらうことで電子署名を付与します。当事者型の場合、双方が電子署名を付与するため、相手方にも電子証明書を発行してもらう必要があります。

厳格な審査によって電子証明書が発行されるため、立会人型に比べ本人性の高い契約締結が可能です。自社にとって重要かつ金額の大きな契約を締結する際には当事者型を選択したほうが、安心して契約を行えます。

タイムスタンプの概要

電子署名は、誰が何を契約したかを証明する技術です。

これに対しタイムスタンプは、「いつ」契約を行ったかを証明するための技術で、契約締結後に電子契約書が改ざんされるリスク防止を実現します。

電子契約書は紙の文書に比べ、原本と同一のコピーが容易であり、改ざんがあっても目視では判断がつきません。また、作成日時の操作もできてしまいます。

タイムスタンプを付与することで、その時点で電子契約書が存在していたこと(存在証明)、それ以降に改ざんがないこと(非改ざん証明)が示されます。

なお、2022年1月に施行された改正電子帳簿保存法により、電子データを自由に改変できないシステムやサービスを使って作成した契約書であれば、タイムスタンプの付与は不要となりました。

e-文書法の要件

e-文書法とは、電磁的記録による保存などを行うことを容認する法律です。

電子契約書が法定書類として認められるには、主に「見読性」「完全性」「機密性(真正性)」「検索性」の要件を満たす必要があります。

ただし、見読性以外は管轄する省庁や対象文書の種類によって異なるため、注意が必要です。

見読性

見読性とは、保存した電子契約書は誰が見ても見やすく読みやすいものであるかどうかを判別するものです。

具体的には、「電子データの保存場所にパソコンなどの電子計算機・ディスプレイ・プリンタなどの操作説明書を用意する」こと。そして「必要なときにすぐに表示したり書面で出力したりできる」ことなどが求められます。

完全性

完全性とは、電子契約書を保存している間に、改ざんや消失などがないような対策が施されているかどうかを判別するものです。

仮に契約内容に変更があり、電子契約書の書き換えを行った場合、書き換えた事実がわかるようログを残す必要があります。また、消失防止対策として、定期的なバックアップも欠かせません。

機密性(真正性)

セキュリティ対策として、電子契約書は許可を受けた特定のものだけがアクセスできるようにしておかなくてはなりません。不正アクセスによる電子契約書の盗難、漏洩、盗み見などを防ぐため、保管場所にパスワード制限をかける、アクセス認証を設定するなどの処置が必要です。

検索性

検索性とは、必要なときに必要な電子契約書を確認できるよう、容易に検索できるようにしておくものです。

いつでも検索が行えるよう、システムの信頼性や可用性を確保しておく必要があります。

多くの電子契約サービスは、e-文書法の要件を満たしているため、これらの要件を細かく把握する必要はありません。しかし、自身で電子契約書を作成する場合は、e-文書法の要件を把握し、対応する必要があるため、必ず把握しておくことが重要です。

電子契約書を利用する際の注意点

電子契約書を利用する際にの注意点がありますが、そのなかでも主なものは次のとおりです。

書面契約が必要な契約書がある

多くの契約書は電子契約が可能になっていますが、一部は書面作成が契約成立要件となるもしくは義務付けられています。

書面作成が契約の成立要件となる契約
  • 事業用定期借地権設定契約
  • 定期借地権設定契約
  • 任意後見契約
  • 更新の無い定期建物賃貸借契約
  • 取壊し予定の建物の賃貸借契約
書面作成が法律で義務付けられている契約
  • 農地の賃貸借契約
  • 建設工事請負契約
  • 割賦販売法に定める指定商品についての月賦販売契約

上述した契約以外であれば基本的には電子契約書による契約が可能です。なお、2023年5月までは訪問販売や電話勧誘販売なども書面による契約が法律で義務付けられていました。しかし、特定商取引法の改正により、2023年6月1日より、一定の条件を満たすことで電子契約が可能になっています。

電子契約書の保存期間を知っておく必要がある

文書による契約書の保存期間は、基本的に7年間です。電子契約書も同様に7年間は適切に保存しておかなければなりません。また、欠損金の繰越控除をする法人についても、文書による契約書と同様、最長で10年間の保存が必要です。

なお、文書の場合、保存場所は契約書が作成、受領された日本国内の納税地となります。しかし、電子契約書の場合、電子契約サービスのサーバーが海外であっても、日本国内からのアクセスが可能であれば、問題ありません。

取引相手に同意を得なくてはならない

取引相手が紙の契約書でなければ受け取らないといった場合は電子契約を行えません。また、電子契約の同意を得た場合でも注意が必要です。

前述した立会人型であれば、取引相手は基本的にメールアドレスさえあれば契約が行えます。しかし、当事者型の場合、取引相手にも電子証明書を発行してもらうため、本人確認や審査を受けてもらわなければなりません。また、電子契約サービスへの登録が必要な場合もあるため、取引相手には必ず事前確認を行うようにしましょう。

 (情報通信の技術を利用する方法)

第二条 親事業者は、法第三条第二項の規定により同項に規定する事項を提供しようとするときは、公正取引委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、当該下請事業者に対し、その用いる同項前段に規定する方法(以下「電磁的方法」という。)の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。

 前項の規定による承諾を得た親事業者は、当該下請事業者から書面又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該下請事業者に対し、法第三条第二項に規定する事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該下請事業者が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。

引用元:下請代金支払遅延等防止法施行令 | e-Gov法令検索

電子契約サービスを選択する際に確認しておくべきポイント

電子契約を導入し、電子契約書を作成すれば担当者の負担軽減やコスト削減が実現します。ただ、電子契約書を1から作成するのは手間がかかるうえ、法律面やセキュリティ面で不安があるため、電子契約サービスの利用がおすすめです。

そこで、ここでは数ある電子契約サービスから自社に合ったものを選択する際に確認しておくべきポイントを紹介します。

無料お試しがあるか

電子契約サービスのメリットが多いとしても、導入してうまくいかずにコストだけがかかってしまうケースは少なくありません。無料お試しサービスがあるかどうかは必ず確認しましょう。

また、無料お試しサービスがあっても使える機能が限定されていると、本来の使い勝手がわかりません。できるだけ有料版と変わらぬ機能が使えるお試しサービスを選択することをおすすめします。

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電子契約は改正電子帳簿保存法への対応やペーパーレス化による担当者の負担軽減などにもつながることもあり、2022年の時点で7割以上の企業が利用しています。政府も電子契約推進を目指し、保存要件の緩和を進めているため、今後さらに電子契約を導入する企業は増加すると予測できます。

自身で電子契約書を作成すれば、コストは抑えられるものの、業務効率化や法律対応、セキュリティ対策などに不安が残ります。

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