近年多くの企業で使われている電子契約サービスは、契約書などの文書を電子化してオンラインで作成・送付・署名・保存できる便利なツールです。しかし、電子契約サービスには様々な種類や機能があるため、自社のニーズに合ったサービスを選ぶことが重要です。また企業体制の変化などで、使うべきサービスを変更するケースも見られます。
そこで本記事では電子契約サービスの乗り換えについて、クラウドサインとGMOサインを例に挙げ、それぞれのサービスの違いや乗り換えるメリット、具体的な方法について解説します。
目次
GMOサインとクラウドサインの違いとは?
GMOサインとクラウドサインは電子契約サービスであり、紙や印鑑を使わずにオンライン上で契約書を作成・送信・署名・保管するシステムです。電子契約サービスにはそれぞれ特徴があり、GMOサインとクラウドサインにおける主な違いは以下の2点です。
- プランの内容
- 電子署名のタイプ
- 電子署名の安全性を支える技術
- 契約期間
それぞれ詳しく解説します。
プランの内容
GMOサインが提供する「契約印&実印プラン」は、月額9,680円(税込)で利用できます。
一方クラウドサインの有料プランには「Light」プラン月額11,000円(税込)、「Corporate」プラン月額30,800円(税込)、「Business」プラン料金要問い合わせ、「Enterprise」プラン料金要問い合わせがあります。
クラウドサインの「Corporate」プランのサービスはGMOサイン「契約印&実印プラン」と同等程度の内容になりますので、月額料金で比較した場合、GMOサインを利用すれば実質的に毎月21,120円節約できるといえるでしょう。
なお、それぞれのサービスにおける無料プランでも電子契約サービスを利用できますが、GMOサインは月5件、クラウドサインでは月3件までとなっており、上限がある点に注意しましょう。
電子署名のタイプ
電子契約サービスでは、電子署名のタイプが重要なポイントです。電子署名とは、電子文書にサインする者が本人であることを担保するために付与される署名です。
GMOサインが提供する電子署名は、以下の2つのタイプがあります。
立会人型(契約印タイプ)では、メール認証によって本人確認を行います。スピーディーかつ手軽に本人確認できますので、定型的な契約に向いています。
一方当事者型(実印タイプ)では、電子認証局が発行する電子証明書で本人確認を行います。第三者機関である電子認証局が厳格に審査した上で電子証明書を発行しますので、ガバナンスや確実性が求められる契約で役立ちます。
実際に、一般財団法人日本情報経済社会推進協会と株式会社アイ・ティ・アールが2023年1月に共同で行った調査によると、立会人型電子署名を利用している企業が17.5%、当事者型電子署名を利用している企業は25.8%、立会人型/当事者型両方を利用している企業が14.3%という結果が出ています。
引用元:JIPDECとITRが『企業IT利活用動向調査2023』の速報結果を発表 |株式会社アイ・ティ・アール
GMOサインの「契約印&実印プラン」では、標準機能として「立会人型電子署名」そして「当事者型電子署名」の両方を利用できます。
一方、クラウドサインでは立会人型の電子署名のみが提供されていますので、このような違いはありません。
電子署名の安全性を支える技術
GMOサインとクラウドサインはともに、Adobeにより要求される厳格な技術要件を満たす信頼性の高いルート証明書(AATL証明書)による電子署名を採用しています。
さらにGMOサインでは、当事者型電子署名を提供するにあたって、国内シェア・認知度No.1のSSL事業者であるGMOグローバルサインと直接連携。国内で電子証明書ベンダーとして20年以上の経験と、全世界でSSLサーバ証明書累計2,800万枚以上の発行実績がある同社と連携することで、より安全で信頼性の高い電子署名技術を提供しています。
なお、GMOグローバルサインは2024年3月「総務大臣によるタイムスタンプ認定制度」 認定を取得し、現在は「認定タイムスタンプ byGMO」も提供しています。
契約期間
GMOサインは1カ月ごとの契約となっていますが、クラウドサインでは1年ごとの更新となっています。そのため、GMOサインの方が契約に対して柔軟に対応できるメリットがあるといえるでしょう。
クラウドサインからGMOサインへ乗り換えるメリット
クラウドサインからGMOサインへ乗り換えるメリットには、以下の3つが挙げられます。
・月額料金が「年間25万円以上」もお得になる
・立会人型電子署名の送信料が「半額」になる
・「印影登録機能」などクラウドサインでは提供されていない機能が利用できる
それぞれ詳しく解説します。
月額料金が「年間25万円以上」もお得になる
GMOサイン・クラウドサインにおける一般企業向けのプランは、それぞれ以下の通りです。
(表示価格はすべて税込みです)
スクロールできます
サービス名 | プラン名 | 月額料金 |
---|
電子印鑑GMOサイン | 契約印&実印プラン | 9,680円 |
クラウドサイン | Corporateプラン | 30,800円 |
GMOサインとクラウドサインの料金比較
クラウドサインでは月額料金11,000円のLightプランも提供されていますが、個人事業主や少人数企業向けとされています。
両サービスを1年間利用した場合の月額料金の総額は、
GMOサイン:116,160円
クラウドサイン:369,600円
であり、その差額は253,440円です。
電子契約導入の理由として上位に挙がることの多い「コスト削減」を考えるのであれば、よりコストを抑えられるGMOサインへの乗り換えを検討してみても良いでしょう。
さらに…
GMOサインは契約期間が1カ月単位のため、電子契約導入におけるスモールスタートにも最適です。
(クラウドサインは年間契約のため、たとえば半年で解約した場合、残りの半年にかかる約18万円分が無駄になってしまいます)
立会人型電子署名の送信料が「半額」になる
月額料金だけでなくGMOサインとクラウドサインは、送信料にも差があります。立会人型電子署名を利用した場合、両者の送信料は以下の通りです。
(表示価格はすべて税込みです)
GMOサイン:110円
クラウドサイン:220円
たとえば会社全体で年間10,000件の契約締結がある場合、GMOサインとクラウドサインでは送信料のみで1年間に110万円の差が生まれます。
「そこまで契約締結の機会は多くないから」と思われる方もいるかもしれませんが、契約書だけでなく「領収書」や「納品書」、「同意書」などこれまで署名や押印の必要があった書類の大半は、電子契約サービスで作成・送信が可能です。
将来的に送信料が増えることも見越して、送信料をできる限り抑えられる電子契約サービスの利用をぜひ検討してみてください。
「印影登録」などクラウドサインでは提供されていない機能が利用できる
GMOサインとクラウドサインには機能面でも違いがあります。とくに「印影登録」機能はユーザーからの希望も多い一方、クラウドサインでは提供されていない機能です。
多くの紙文書は押印によって信頼性を確保してきました。一方で、電子文書は電子署名を付与することで法的有効性を示します。そのため、電子文書上に印影を表示させる必要は本来ありません。しかし、日本のハンコ文化は根強く、古くからの商慣習を尊重する観点から、GMOサインは電子文書上に印影を残す機能を提供しています。
このほかにも外出先でも契約状況をすぐに確認できるスマホアプリや、今後ますます増えると予想される外国人労働者との契約に便利な多言語対応など、ユーザーの使い勝手を考えた様々な機能をGMOサインは提供しています。
クラウドサインからGMOサインに乗り換えを検討されている方は、ぜひ両者の機能面にも注目してみてください。
クラウドサインからGMOサインへの乗り換え方法
クラウドサインからGMOサインへ乗り換える場合には、以下の3つの手順で行います。
- クラウドサインを解約する
- GMOサインの契約を申し込む
- GMOサインを使ってみる
それぞれの手順について詳しく解説します。
STEP
クラウドサインを解約する
クラウドサインを解約するには、クラウドサインのマイページから行えます。有料プランは年間契約のみですので、途中で解約する場合でも返金されない点に注意しましょう。
また解約後には締結済み書類はダウンロードできなくなりますので、念のため解約前にダウンロードすることをおすすめします。
なお、GMOサインへ乗り換える際には、クラウドサインで作成した電子契約書類はPDFファイルなどでダウンロードしておきましょう。GMOサインには「スキャン文書管理機能」がありますので、クラウドサインで管理していた文書をGMOサインに移行したい場合に役立ちます。
STEP
GMOサインの契約を申し込む
GMOサインの契約を申し込むには、GMOサインの公式サイトから申し込みフォームから必要事項を入力します。申し込み後には、メールで契約内容の確認や本人確認の手続きが行われます。
有料プランの料金はクラウドサインと比べて安価であり、機能やサポートも充実していますので、安心して利用できます。またお試しフリープランもあるため、まずはUIや使い心地を確認しておくのもいいでしょう。
さらにGMOサインでは他社からの乗り換えサポートも行っているため、専任コンサルタントに相談することも可能です。
STEP
GMOサインを使ってみる
GMOサインはユーザーのUIを意識したシステムを構築していますので、便利にお使いいただけるでしょう。操作方法に困ったときは、公式サイトにあるマニュアルや動画をご覧ください。
また手書きサインや10年を超える契約の長期保存などの特徴的な機能もありますので、これらの機能も役立つでしょう。
クラウドサインからGMOサインに乗り換える際の注意点
クラウドサインからGMOサインへ乗り換える際には注意点があり、主に以下の2つが挙げられます。
- クラウドサインでは更新のタイミングによって多額の費用が無駄になってしまうことも
- 契約期間の満了が迫っている場合には、早めに手続きを開始しておく
それぞれ詳しく解説します。
クラウドサインでは更新のタイミングによっては多額の費用が無駄になってしまうことも
クラウドサインの有料プランは年間契約のみなので、更新直後に解約するとその費用(Corporateプランの場合)だけで30万円以上払わなければいけないケースも考えられます。そのため、更新のタイミングを意識する必要性が高い点がデメリットといえるでしょう。
契約期間の満了が迫っている場合には、早めに手続きを開始しておく
クラウドサインを解約する場合にはチャットで連絡する必要があり、メールや電話などでは受け付けおりません。またチャットで連絡がとれた後でも、その後の解約手続きに数日かかるケースが多いです。
そのため契約期間が満了するタイミングで解約を考えている場合には、少なくとも1週間前からチャットで連絡をとっておくことをおすすめします。
電子契約サービスの内容を確認して、自社に合ったものを選びましょう
電子契約サービスを検討する上では、各社が提供しているプランや電子署名について確認しておくことが重要です。そのため自社でよく使う契約の内容を確認しておき、適切な電子契約サービスを選びましょう。
GMOサインでは、お客様が便利にお使いいただけるように様々なサービスを提供しています。ご不明な点などありましたらチャットだけでなく、電話やお問い合わせフォーム、メールでも対応していますので、ぜひご連絡ください。