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印紙税が必要な契約書とは?収入印紙代はどちらが負担する?一覧表付きで解説

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契約書には、種類や契約金額によっては印紙税がかかる場合はあります。印紙税は国が定める義務であり、印紙税を納めないとペナルティが課せられるケースもあります。

そこで本記事では、印紙税が必要になる契約書について解説します。「契約書とはそもそも何か」「印紙税とはどんなものか」、印紙税や契約書について理解しておくべきことをまとめましたので、参考にしてください。

目次

印紙税と契約書について

まずは印紙税と契約書について解説します。

印紙税と契約書について理解しておかないと、印紙税がかからない文書に収入印紙を貼ってしまうこともあるでしょう。または、印紙税が必要な契約書に収入印紙を貼ることを失念してしまい、脱税にあたる行為をしてしまうことも考えられます。

そのため、「手元にある文書は契約書にあたるのか」「印紙税を納める必要がある契約書なのか」を明確にする必要があります。

印紙税とは

印紙税とは、法律で定められた課税文書に対して課される税金です。税金なので、国に納めないと脱税になってしまいます。給与から天引きして税金を納める方法が一般的ですが、印紙税は文書に収入印紙を貼ることで納税の義務を果たします。

契約書とは

国税庁は「名称が契約書ではなくても、それが契約の成立を意味する書類であれば契約書に含める」としています。

少し曖昧に感じる表現ですが、「国税庁がどのように認識しているのか」という点が重要ですので、課税文書に該当する20種類の契約書について解説していきます。

印紙税が必要な契約書

印紙税が必要な契約書は20種類あります。文書の種類や契約金額によって、31種類ある収入印紙から必要なものを用意します。身近な文書からあまり見慣れない文書もありますが、20種類のいずれかに該当する文書には印紙税を納める義務があります。

万が一のトラブルをなくすためにも、国税庁が契約書と判断する20種類の文書についてそれぞれ見ていきましょう。

第1号文書

第1号文書は、以下の4種類の契約書があります。

  • 不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書
  • 地上権又は土地の賃借権の設定又は譲渡に関する契約書
  • 消費貸借に関する契約書
  • 運送に関する契約書

第1号文書の印紙税額は、以下のとおりです。

契約金額印紙税額(1通または1冊につき)
1万円未満非課税
1万円以上10万円以下200円
10万円以上50万円以下400円
50万円を超え100万円以下1,000円
100万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

参照:国税庁「印紙税額」

第2号文書

第2号文書は、「請負に関する契約書」の1種類だけです。

第2号文書の印紙税額は、以下のとおりです。

契約金額印紙税額(1通または1冊につき)
1万円未満非課税
1万円以上100万円以下200円
100万円以上200万円以下400円
200万円を超え300万円以下1,000円
300万円を超え500万円以下2,000円
500万円を超え1千万円以下1万円
1千万円を超え5千万円以下2万円
5千万円を超え1億円以下6万円
1億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下20万円
10億円を超え50億円以下40万円
50億円を超えるもの60万円
契約金額の記載のないもの200円

参照:国税庁「印紙税額」

第3号文書

第3号文書は、「約束手形、為替手形」になります。

第3号文書の印紙税額は、以下のとおりです。

契約金額印紙税額(1通または1冊につき)
10万円未満非課税
10万円以上100万円以下200円
100万円以上200万円以下400円
200万円を超え300万円以下600円
300万円を超え500万円以下1,000円
500万円を超え1千万円以下2,000円
1千万円を超え2千万円以下4,000円
2千万円を超え3千万円以下6,000円
3千万円を超え5千万円以下1万円
5千万円を超え1億円以下2万円
1億円を超え2億円以下4万円
2億円を超え3億円以下6万円
3億円を超え5億円以下10万円
5億円を超え10億円以下15万円
10億円を超えるもの20万円

参照:国税庁「印紙税額」

第4号文書

第4号文書は、以下の4種類の契約書です。

  • 株券
  • 出資証券若しくは社債券又は投資信託
  • 貸付信託
  • 特定目的信託若しくは受益証券発行信託の受益証券

第4号文書の印紙税額は、以下のとおりです。

契約金額印紙税額(1通または1冊につき)
500万円未満200円
500万円を超え1千万円以下1,000円
1千万円を超え5千万円以下2,000円
5千万円を超え1億円以下1万円
1億円を超えるもの2万円

参照:国税庁「印紙税額」

第5号文書

第5号文書は、「合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書」です。

第5号文書に該当する契約書の印紙税額は、一律4万円になります。

文書の種類印紙税額(1通または1冊につき)
合併契約書又は吸収分割契約書若しくは新設分割計画書一律4万円

参照:国税庁「印紙税額」

第6号文書

第6号文書は、「定款」です。印紙税額は一律4万円になります。

文書の種類印紙税額(1通または1冊につき)
定款一律4万円

参照:国税庁「印紙税額」

第7号文書

第7号文書は、継続的取引の基本となる契約書で、以下のとおりです。

  • 売買取引基本契約書
  • 業務委託契約書
  • 代理店契約書

第7号文書に該当する契約書の印紙税額、は一律4万円になります。

文書の種類印紙税額(1通または1冊につき)
売買取引基本契約書/業務委託契約書/代理店契約書一律4万円

第8・9・10・11・12・13・14・15・16号文書

第8号文書から第16号文書の種類と印紙税額は、以下のとおりです。

 文書の種類印紙税額(1通または1冊につき)
第8号文書預金証書、貯金証書一律200円
第9号文書倉荷証券、船荷証券、複合運送証券一律200円
第10号文書倉荷証券、船荷証券、複合運送証券一律200円
第11号文書信用状一律200円
第12号文書信託行為に関する契約書一律200円
第13号文書債務の保証に関する契約書一律200円
第14号文書金銭又は有価証券の寄託に関する契約書一律200円
第15号文書債権譲渡又は債務引受けに関する契約書記載された契約金額が1万円以上のもの200円
契約金額の記載のないもの 200円
第16号文書配当金領収証、配当金振込通知書記載された配当金額が3千円以上のもの200円
配当金額の記載のないもの 200円

参照:国税庁「印紙税額」

第17号文書

第17号文書に該当する文書は、以下のとおりです。

  • 商品販売代金の受取書
  • 不動産を賃貸料の受取書
  • 請負代金の受取書
  • 広告料の受取書

第17号文書は、ビジネスシーンでもよく使われるので印紙税額を詳しく確認しておきましょう。

契約金額印紙税額(1通または1冊につき)
5万円未満非課税
5万円以上100万円以下200円
100万円以上200万円以下400円
200万円を超え300万円以下600円
300万円を超え500万円以下1,000円
500万円を超え1千万円以下2,000円

参照:国税庁「印紙税額」

第18・19・20号文書

第18号文書から第20号文書の種類と印紙税額は、以下のとおりです。

 文書の種類印紙税額(1通または1冊につき)
第18号文書預金通帳、貯金通帳、信託通帳、掛金通帳、保険 料通帳1年ごとに200円
第19号文書消費貸借通帳、請負通帳、有価証券の預り通帳、金銭の受取通帳などの通帳1年ごとに400円
第20号文書判取帳1年ごとに4,000円

参照:国税庁「印紙税額」

国税庁が定める20種類の文書は、金額に応じて必要な印紙税を納める必要があります。

どの文書にあたるのは判断だけでなく、必要になる印紙税を確認して的確に納めるようにしましょう。

印紙税と契約書によくある質問

印紙税と契約書によくある質問に回答します。

「収入印紙は誰が負担するのか?」「必ず必要なものなのか?」あまり知らない印紙税と契約書のルールについて見ていきましょう。

収入印紙は誰が負担するの?

印紙税法第3条では、印紙税の納税義務者は「課税文書の作成者」となっています。つまり、契約書を作成した側が収入印紙代を負担するのが基本です。ただし、共同で契約書を作成した場合は双方で負担すると定められています。

状況によって片方が負担するケースと双方で負担するケースに分かれますので、お互いが収入印紙の負担について理解しておかないとトラブルを招く場合がありますので、気をつけましょう。

収入印紙はどこに貼る?

収入印紙の貼付位置は、左上の余白部分が一般的です。注意しておきたい点は、収入印紙を貼付するだけでは納税の義務を果たしていないことです。

印紙税を納める行為は「収入印紙を貼付したあと、押印した印鑑もしくは署名で消印する」までを指します。

印紙代を払っただけでは納税の義務を果たしていませんので、必ず消印まで行いましょう。

すべての契約書に必ず貼るものなのですか?

すべての契約書に印紙を貼る必要があるわけではありません。

国税庁が契約書と定める20種類の文書が対象であり、契約金額で収入印紙の必要性は異なります。20種類の文書に該当しても、契約金額によっては非課税にあたる文書もあります。この場合、収入印紙は不要です。

収入印紙が必要な文書は、課税文書にあたるかどうかで判断します。また、身近な文書の一つに第17号文書に該当する領収書がありますが、領収書は表記方法を変えれば収入印紙が不要になる場合もあります。

また第17号文書は、5万円未満であれば非課税の対象になります。一方、5万円以上の領収書には、200円の収入印紙が必要です。

「表記方法を変える」点については、以下の表記方法の違いについてご覧ください。

商品代金52,800円(消費税込み):印紙税200円

商品代金52,800円(税抜金額48,000円):非課税

商品代金52,800円(うち消費税等4,800円):非課税 

支払った金額は同じでも、領収書の表記方法を変えれば非課税対象の文書になり得ます。この方法はすべての文書に有効というわけではありませんが、収入印紙は「課税文書かどうか」で必要性が変わってくる点を理解しておきましょう。

収入印紙はどこで購入できますか?

収入印紙は、「郵便局」「コンビニ」「たばこ屋や酒屋」「金券ショップ」「法務局」「役所」で購入可能です。収入印紙は31種類ありますが、31種類すべて取り扱っているのは郵便局と法務局です。

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収入印紙を貼り忘れたらどうなりますか?

収入印紙を貼り忘れると、過怠税の納付義務が発生します。そのため、「貼り忘れ」「額面の異なる収入印紙を貼付する」ことは絶対に避けましょう。故意でなくても、収入印紙の貼り忘れや額面の間違いが発覚した場合は、過怠税の納付義務が発生します。

過怠税が課されるは一般的に納付すべきだった3倍の支払い義務が課せられます。そのため契約金額が大きな文書の貼り忘れの場合、大きな損出が発生してしまいますので気をつけましょう。

海外で契約した場合、収入印紙は必要ですか?

印紙税は日本の法律で定められています。そのため契約書の最後の押印、署名が海外で行われた場合、収入印紙は不要になります。

このとき注意しておきたいのは、「どこで成立した契約なのか」という点です。

海外で話を進めていても、契約書が完成した場所が日本であれば課税文書に該当します。反対に、日本で契約を進めていても契約書が海外で完成した場合は、契約金額にかかわらず収入印紙は不要です。

このように場合によっては、印紙税がかからないケースもあるので覚えておくと良いでしょう。

電子契約を行った場合も収入印紙は必要ですか?

印紙税は紙の契約にかかる税金ですので、電子契約で結ばれた取引には収入印紙は不要です。電子契約を導入する企業も増えているので、電子契約を求められた経験がある方もいるのではないでしょうか。

電子契約は文字通り、紙ではなく電子文書に電子署名をして取り交わされる契約です。収入印紙は「課税文書かどうか」で必要性が変わりますので、電子契約であれば文書ではありませんので収入印紙は不要となるのです。

電子契約を導入するメリットはたくさんありますが、企業によっては年間の印紙税代が大幅カットできるのではないでしょうか。契約が多い企業にとっては、印紙税が不要になる点は大きな魅力です。同じ契約であっても締結方法を変えるだけで印紙税は不要になるので、電子契約の導入を考えてみてはいかがでしょう。

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印紙税が必要な契約書において、印紙税を貼り忘れる行為は「怠過税」が発生するため絶対に避けておきたいトラブルです。また、印紙税額を間違う行為もリスキーです。また必要な金額の収入印紙を購入して、文書に貼付しても消印や署名を怠ると、ペナルティが課せられます。

印紙税を納めるためには、さまざまな点に注意が必要になり、リスクを考えると「電子契約」の導入がおすすめと言えます。電子契約を導入するメリットはさまざまですが、具体的には以下のような長所が挙げられます。

  • 印紙税の節約になる
  • 収入印紙の取り扱いによるリスク削減
  • 契約書の管理が簡単になる

印紙税が不要になれば、大幅なコストカットにつなげられるだけでなく、「怠過税」などのリスク削減にもつながります。近年導入する企業も増えているので、今後は電子契約に主流になることも考えられます。そのため今から電子契約の導入を考えておけば、いざという時にスムーズに取り入れられるでしょう。

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