電子データの署名に活用される「電子署名」。電子署名の導入を検討するとともに、無料で電子署名を取り入れようとお考えの方も多いのではないでしょうか?
電子署名は印刷やハンコの押印の作業を簡素化できるため多くの場面で活躍しています。電子署名を導入するためには対応しているサービスへ加入が必要です。
今回は無料で電子署名を作成できるサービス7つと電子署名導入のメリット・注意点について解説していきます。
目次
そもそも電子署名とは
電子署名とは、PDFなどの電子データが正式なものであることを証明するものです。
電子署名は、紙に署名した場合と同じ効力が発揮されることが電子署名法で認められています。そのため、電子署名を用いると紙の文書で行っている署名や捺印といった作業をスマホやパソコン上で行うことが可能です。契約書等の重要書類に対しても法的な効力を発揮します。
なりすましや改ざんへの対策のため、第三者認証機関を国が設けているサービスが多く、安全性の保証も進んでいます。
電子署名と電子印鑑の違い
電子署名と似たフレーズの一つに「電子印鑑」があります。電子印鑑は印鑑の画像データのことを指すものです。電子署名とは違い、本人が押した証明や改ざんされていない証明ができません。そのため、社内での書類チェックなどに活用するのが一般的です。
電子署名も電子印鑑も法的には契約書に利用できますが、電子署名を使うことでより信用度の高い文書を作成できます。インターネット上で行われる電子契約では常に書類の改ざんのリスクと隣り合わせであるため、電子印鑑よりも信用できる電子署名の導入が進められています。
電子署名の仕組み
電子署名としての効力を発揮するには、以下の要件を満たす必要があります。
・電子文書の作成者を示す
・作成された電子文書が改ざんされていないことを示す
デジタル文書のメリットである扱うことが容易で編集を行いやすいという点は、署名の場面では懸念しなければなりません。電子署名の信用は暗号化技術によって成り立っています。電子署名では主に「公開鍵暗号」と呼ばれる方式の暗号が用いられます。
暗号化と復号でそれぞれ鍵を用意し、暗号化には秘密鍵、復号には公開鍵を使用します。そのため、ペアとなる鍵以外では復号できません。このような仕組みによって電子署名は法的な効力を発揮できているわけです。
電子署名を無料で作成できるおすすめサービス5選
無料で電子署名を作成する場合、次の6つの方法があります。
・GMOサイン
・クラウドサイン
・freeeサイン
・みんなの電子署名
・e-sign
・Adobe Acrobat Reader DC
今回ご紹介する内容は、有料サービスのフリープランや、無料ツールを利用する方法です。
無料で使用できるものは署名数などの制限があります。サービスによって制限の内容・利用できるシーンが異なります。それぞれのサービスを理解し、活用できるものを見つけていきましょう。
GMOサイン
引用元:GMOサイン
GMOサインの無料プランでできること
・ユーザー数:1
・送信数:無料/上限5件/月
・送信料:0円
・文書テンプレート:5件まで登録可能
・アドレス帳機能:5件まで登録可能
・署名機能:契約印タイプ(立会人型)
・手描きサイン、印影登録、長期署名・タイムスタンプに対応
・契約相手の署名:無料
・文書検索機能
・契約更新の通知
・二要素認証
GMOサインはGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社が運営する電子契約サービスです。300万社を超えている導入企業数は国内No.1の実績を誇っています。
通常の有料プランに対して、機能制限がかけられたフリープランが用意されています。今後、電子署名を本格導入していきたいと考えている方は、有料プランへの乗り換えも検討しながらお試しとして利用してみてはいかがでしょうか。
参考:GMOサインは無料で使える?無料プランと有料プランの違いなどを徹底解説!リアルな口コミ・評判も紹介|GMOサイン
クラウドサイン
引用元:クラウドサイン
クラウドサインの無料プランでできること
・送信件数:月5件まで
・ユーザー数:1名まで
・利用料金:無料
・タイムスタンプ:使用可
クラウドサインは国内の電子署名ツールです。GMOサインと並んで国内トップのシェアを誇るサービスで、市場認知度No.1となっています。(電子契約総合研究所調べ)
クラウドサインでは特別な準備が必要なくメールアドレスで認証するため、取引先も使いやすいサービスです。契約書の送信、保管、検索といった基本的な動作を使うことができます。国内で1番使われているという点で、使いやすさを求める方におすすめです。
freeeサイン
引用元:freeeサイン
freeeサインの無料プランでできること
・アカウント数:1
・送信数:1通/月
・基本料金:無料
・送信単価:0円
・タイムスタンプ:使用可
freeeサイン(旧NINJA SIGN)は弁護士監修で安心、使いやすさNo.1を売りにしている電子契約サービスです。電子契約サービスを扱うのが初めてという人でも使い方に困らず、安心して使いこなせる画面レイアウトになっています。GMOサインやクラウドサインと比較すると、送信数が月に1件のみであることに注意が必要です。
初めて外部サービスを社内業務に導入する方や、使いやすさを重視している方におすすめのサービスです。
みんなの電子署名
引用元:みんなの電子署名
みんなの電子署名の無料プランでできること
・ユーザー数:無制限
・送信件数:無制限
・電子署名(AATL対応):使用可能
・タイムスタンプ:使用可能
・文書検索機能付き
・長期署名対応
みんなの電子署名は、有料サービスは1年以上の文書保管料金のみ、それ以外のサービスは全て0円であることを強みとしています。月額固定料金、文書作成や送信にかかる費用も0円と、無料でも使用できる機能が豊富です。ホームページ上にわかりやすいマニュアルが公開されているため、手軽にサービスを利用することができます。
対応している電子データがPDFのみであるため、PDFを多用している企業におすすめです。
e-sign
引用元:e-sign
e-signの無料プランでできること
・ユーザー数:無制限
・送信件数:無制限(1契約あたりアップロードできるファイル数は5件まで)
・タイムスタンプ:非対応
・長期署名:非対応
・テンプレート機能:非対応
現在、新規登録を受け付けていません。e-signに登録をしたことがある方のみ利用可能です。なお、一度解約されますと、使用できなくなりますのでご注意ください。
e-signは電子国家とも呼ばれるエストニアで生まれた電子署名ツールです。電子契約が当たり前の国であるエストニアではデジタルIDと連携した電子契約サービスが国全体に普及しています。そのため、e-signでは電子署名を無料で利用できるのです。スマートフォンからの契約にも対応しており、外出中のメールにも対応できます。任意でマイナンバーカードとデジタルIDを結びつけることもでき、より本人性を高めることも可能です。Face IDやTouch IDなどの生体認証も利用可能です。
電子署名を無料で作成できる厳選ツール2選
Acrobat Reader DC・Acrobat DC
引用元:Acrobat Reader DC
Adobe社の「Acrobat Reader DC」「Acrobat DC」を利用することで、PDFファイルに無料で電子署名を付与できます。
「Acrobat Reader DC」「Acrobat DC」では「Self-SignデジタルID」と呼ばれる無料の電子署名が利用可能です。ただし、Self-SignデジタルIDは認証局で電子証明書を発行する一般的な電子署名とは異なります。
公的機関での本人確認を行わないことから、企業がビジネス目的で使うには不向きです。
(有料のプランにすることで信頼性を高めることが可能です。)
DigiSigner
引用元:DigiSigner
DigiSignerはPDFに署名して記入するための無料オンライン電子署名プラットフォームです。無料ツールの一つですがAdobeに比べ、優れた暗号化技術によって法的効力が認められています。さらに、電子署名からドキュメントの送信をスムーズに行える点がメリットです。
タッチパッドなどを用いることで、手書きのような電子署名が可能なためより本人性の高い電位署名が可能となっています。
電子署名を導入するメリット
電子署名を作成するメリットは以下の4つがあります。
・契約書の電子データ化
・収入印紙の削減
・契約締結のスピードアップ
・ペーパーレス化
社内業務を効率化できるだけでなく、費用の削減など経理の面でも大きく貢献します。電子署名を最大限活用するために、メリットをよく理解しておきましょう。
契約書の管理が楽になる
従来使用していた紙の契約書の代わりに、電子ファイル形式のまま契約業務を行うことが可能となります。紙文書の保管スペースの削減や、文書データの一括管理が可能です。
収入印紙代を削減できる
紙の契約書の場合は、契約金額に応じて印紙税がかかります。収入印紙を買う手間もかかってしまいます。電子契約書には印紙税が課税されないという法律があるため、電子契約においては紙の契約書の時にかかっていたコストが削減されるのです。契約金額が大きくなるほどコストがかかるので、それに応じて電子契約を導入するメリットも大きくなります。
契約締結までのリードタイムが縮まる
電子署名を利用した電子契約書では、契約業務が大幅にスピードアップします。従来の紙媒体では契約書を作成し印刷、捺印、封入、郵送、返送をしてもらう、という流れが必要です。時間がかかるだけでなく、無駄な社内業務が発生してしまいます。
電子契約のシステムでは電子データ上で必要な作業を完結させることができるため、無駄な業務を無くすことができます。削減できたリソースを他の業務に回すことで、社内の生産性を上げられるのです。
ペーパーレス化によって業務効率が高まる
紙での文書作成にかかっていた印刷代や封筒代を削減できると共に、社内のペーパーレス化を促進できます。書類の作成・管理・共有を手軽に行うことで、仕事の効率も上昇することでしょう。
電子署名を導入する際の注意点
社内に電子署名を導入する場合には、次に挙げる3つの点に注意する必要があります。
・契約先への理解が必要
・業務フローの変更が必要
・誌面での署名が必須の場合がある
注意点をよく理解して導入を進めることで、業務に支障が生じることなくスムーズに電子署名の導入を進められます。それぞれ確認していきましょう。
契約先の理解を得る必要がある
電子署名を活用する場合、契約先への理解が必要になります。全ての企業が契約書の電子データ化を進めているわけではありません。また、今も電子データの契約書に不安を覚える企業も多くあります。そのため、無理に電子データでのやりとりを進めてしまうと、企業間のトラブルにつながってしまう恐れも。契約先へ電子署名の十分な理解が得られない場合は、従来の方法でも対応できるような体制を整えておくのが大切です。
業務フローの変更が必要となる
電子署名を導入する場合には、業務フローの変更によって起こるミスやトラブルへの対策が必要です。従来のやり方で慣れている場合や、パソコンの扱いに慣れていない場合は電子署名の導入に戸惑いの声が挙がる場合も。導入によってミスやトラブルが頻発してしまうと、かえって社内の負担が増えてしまいます。電子署名を導入する場合は社内への周知を十分にしておき、マニュアルを作成しておくなどの対策が必要です。
電子化できない書類が存在する
電子署名はほとんどの契約において法的効力を発揮しますが、公正証書を必要とする契約などでは紙面でなければならないものがあります。紙面での署名にも対応できるようにしておかなければいけません。今後、全ての契約書で電子署名が有効になる見込みは十分にあるため、デジタル化の流れによる法改正を待ちましょう。
電子署名を無料で作る方法まとめ
今回は、無料で電子署名を作成する方法7つとそのメリット・デメリットについて解説してきました。今後、企業全体でデジタル化が進む中、最初の取り組みとして電子署名の導入は効果的です。現時点でも無料で電子署名を作成できるサービスはとても多く、今後より普及していくと考えられます。
電子署名についてよく理解し、早期に導入していくことで社内業務の効率化や費用の削減などが可能です。デメリットや注意点についてもよく理解し、スムーズな導入ができるように社内の体制を整えておきましょう。